ビデオ会議市場ではプラットフォームの統合・連携が進んでいる。専用端末を用いるテレビ会議システムと、PCやスマートフォン/タブレット端末を使うWeb会議を相互接続し、自由度の高いビデオコミュニケーションを実現しようという動きだ。
背景にあるのは会議室の外、さらに“社外ともビデオ会議がしたい”というユーザーニーズである。
高品質な映像と音声で会議が行えるテレビ会議と、デバイスと場所の制約なく使えるWeb会議は、ユーザーも利用シーンも異なっており、同じ企業内でも両者を使い分けるケースが少なくない。各拠点の幹部が集まる会議はテレビ会議室で行い、現場レベルの打ち合わせは普通の会議室やオフィス内の空きスペース、自席でWeb会議をするといった具合だ。また、Web会議は汎用端末とインターネット接続があればどこでも使えるため、外出先や在宅勤務中の社員、あるいは社外のパートナー・取引先との会議も可能だ。
加速するMCUのクラウド化どちらも広く普及し、使い分けも増えたことで新たに立ち上がってきたのが“両方をつなぎたい”というニーズである。上記の利用シーンをつなぎ合わせることができればビデオ会議の活用範囲はさらに広がり、稼働率も上がる。
こうしたニーズを持つ企業から注目を集めているのが「クラウドMCU」だ。多地点接続機能をクラウドで提供するもので、最近はテレビ会議専用端末、PC、スマートデバイス、さらに電話も相互接続できるマルチデバイス対応のサービスが増えてきた。オンプレミス型でも同様のことができるMCUはあるが、クラウドMCUは汎用端末から接続するユーザー数を柔軟に増減でき、初期投資・運用費を削減できることが人気の理由だ。
主要メーカーのテレビ会議を幅広取り扱うVTVジャパン代表取締役の栢野正典氏は「オンプレミス型の商談、出荷台数が減り、代わりにクラウドMCUの契約が増えてきた」と話す。既存のMCUをリプレースする際に「Web会議もできるなら統合しようというお客様も増えている」という。
図表 オンプレミス型MCUからクラウドMCUへ[画像をクリックで拡大] |
約5年前から「ホワイトクラウド ビデオカンファレンス」を提供してきたソフトバンク・ICTイノベーション本部クラウドサービス統括部プロダクト企画部部長の鈴木邦佳氏も、「社外と会議がしたいという要望は非常に多い」と話す。同社は12月、マルチデバイス対応で社外接続を容易にする機能を強化した新たなクラウドMCUサービス「PrimeMeeting」の提供も開始した。