国内最大級のインターネット広告プラットフォーム「MicroAd BLADE」「MicroAd COMPASS」を展開し、国内と海外拠点を合わせて約1万2000社の広告主にサービスを提供しているマイクロアド。同社は2015年、Cumulus NetworksのネットワークOS「Cumulus Linux」と、Penguin Computingのホワイトボックススイッチ(ホワイトボックススイッチ)を導入した。
広告プラットフォームで取得される膨大なログ情報を蓄積・分析するデータベースシステムを新たに構築するに当たり、上記2社の製品でネットワークを構築。10GBスイッチ6台の構成で15年12月に稼働を開始した。16年7月現在で、スイッチ10台に拡張している。
マイクロアド システム開発部 シニアエンジニアの元井正明氏(右)と羽田幸太氏 |
Linuxエンジニアがすべてを管理マイクロアドがCumulus Linuxとホワイトボックススイッチに期待したのはコスト低減と、ネットワーク構築・管理手法の刷新だ。同社でデータセンターインフラの構築・運用を担当するシステム開発部・シニアエンジニアの元井正明氏は、コスト効果について次のように語る。
「従来型スイッチで同じ構成を組んだ場合と比べてイニシャルは7割、ランニングは4割程度まで下がった」
また、ネットワーク構築・管理の方法も大きく変化した。システム開発部の羽田幸太氏は「当社のインフラのエンジニアには『ネットワーク専門』の人員はいない。全員がサーバーからネットワークまで管理するため、スイッチOSごとにコマンドが異なると、管理のハードルが高くなってしまう。しかし、Cumulus LinuxならLinuxがベースなので、サーバーもネットワークも同じスキルで管理できる」と話す。
装置ごとにエンジニアに求められるスキルが異なれば当然、エンジニアの学習コストがかかる。その必要なく導入できて、既存のスキルセットで運用できることは非常に大きなメリットだ。
ただし、両氏とも当初はホワイトボックススイッチについての知識がなく「スイッチがLinuxで動くらしいと聞いたことがあった程度」(羽田氏)。どのような経緯で採用に至ったのか、また構築・運用において課題はなかったのか、上記の効果の検証も含めて詳しく見ていこう。