ローデ・シュワルツ・ジャパンが提供する無線通信用の測定ソリューションは多岐にわたるが、ワイヤレスジャパン×WTP 2025では特に先進的なテクノロジーに関連する測定器のデモを見ることができる。
先端テクノロジーに関する測定ソリューションを展示するローデ・シュワルツ・ジャパン
1つが、欧州で2026年に出荷される新規登録者から搭載が義務化されるeCall(車載用緊急通報システム)の次世代バージョン「NGeCall」の評価・テストソリューションだ。
2G/3Gを利用するeCallは世界各国へ導入が広がっているが、並行して、LTE/5GベースのNGeCallへの移行も始まろうとしている。自動車メーカーおよび部品メーカーは新たな規格・規制への対応が急務であり、そのなかで、ローデ・シュワルツの測定器はもちろん、同社が持つ知見やノウハウに対する期待も高まっている。
NGCallは、単に回線がLTE/5Gに変わるだけでなく、通信方式が回線交換からパケット交換型へ移行し、音声通話もIMSをベースとしたVoLTEを使用する。機器の動作試験はもちろんのこと、通信性能や音声品質の評価など多くのテストをパスしなければ、認証基準をクリアすることはできない。また、eCallとの併存も考慮して、LTE/5Gと2G/3Gのネットワークを識別して通報できる機能なども必要だ。
現在もまだ更新が続くNGeCall規制にいち早く対応したローデ・シュワルツのブースでは、同社製の測定器を使った評価・テストのデモを実施している。
NGeCallの評価・テストソリューション(左)と、Universal NTN(右)の測定デモ
スカパーJSAT「Universal NTN」実現も下支え
もう1つ、同社ブースではNTN関連の評価デモも展示している。
ローデ・シュワルツは、スカパーJSATの「Universal NTN イノベーションラボ」にソリューションを提供している。Universal NTNとは、スカパーJSATが実現を目指している静止軌道衛星や低軌道衛星、HAPSなどを組み合わせた非地上系ネットワークのこと。ローデ・シュワルツがVIAVI社と共同開発したNTNテストベッドを提供したこのラボでは、NTNの技術試験を行うための環境が整備されている。
これにより、実際に衛星を使うのと同じ環境をシミュレーションしてエンドツーエンドの接続性評価や性能検証、サービス品質の測定などが可能になる。
このほか、ローデ・シュワルツのブースではBluetoothの最新技術であるチャネルサウンディング、6G時代の無線カバレッジを強化する技術として期待が高い「RIS(再構成可能なインテリジェントサーフェス)」に関する展示もある。
電磁波を動的に操作して反射角、ビーム成形、偏波の制御を行うRIS
チャネルサウンディングは、Bluetooth 6.0で新たに導入された高精度測距技術だ。デバイス間の距離をcm単位で正確に測定する技術だ。RISも、来るべき6G時代にミリ波やテラヘルツ波といった高周波数帯を活用するには不可欠とされる技術の1つ。ローデ・シュワルツ・ジャパンのブースを訪れれば、これら先端技術についても深い知識を得られるはずだ。