2kHzの超狭帯域の通信による耐干渉性・信頼性、メッシュネットワークによる広域アクセスや低消費電力での双方向通信などの特徴を持つLPWAであるZETA。この規格を推進するZETAアライアンスが2025年5月28日に開幕した「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP) 2025」に出展。ブースには加盟各社のZETAを活用したデバイスやソリューションが並んでいる。
ZETAアライアンスブースには加盟企業から9社が出展
3業界で重点展開 ニーズに応じたオンプレソリューションも登場
ZETAアライアンスで代表理事を務めるTOPPANデジタルの諸井眞太郎氏は、「ここ1~2年はZETAの特徴に合う業界に的を絞って展開している」と話す。その業界とは、主に自治体、工場、そして物流だ。
自治体向けには、河川やため池などの水位をリモート監視する「スイミール」、イノシシなど害獣の罠を監視する「リモワーナ」といったソリューションをTOPPANデジタルが提供している。岡山県浅口市では防災行政無線などの既存インフラを活用し市内をZETA通信エリア化。水位、獣害に加え、WBGTセンサーを利用した熱中症対策に効果を挙げているという。
TOPPANデジタルが展開する自治体向けZETAソリューション
工場での導入が進むのはTOPPANデジタルのスマート点検システム「e-Platch」だ。TOPPANでは、自社工場をくまなくZETAエリア化し各種センサーを設置。これにより、点検の内製化、高所など危険な作業の削減、そして薬液や電力などの無駄のあぶり出しに成功した。熊本工場では3200万円の初期投資に対して、年間5040万円の効果を挙げたという。
ただ、工場にすでに設置されている多数のセンサーをZETA対応に置き換えるのはコスト面から現実的でない。そこで活躍するのが「ZETABOX」シリーズ。これはZETA通信モジュールを内蔵したゲートウェイで、入力は4-20mA、RS-485といった産業用インターフェースに対応するため、既設のセンサーやメーターなどを低コストで“スマート化”することが可能だ。
中央奥のデバイスが入力インターフェースを3つ持つ「ZETABOX」。中央右側はインターフェースを1つに絞った「ZETA BOX SMART」
ZETAはデータをクラウド側で処理するのが基本だ。しかし、「物流業界を中心に、データをクラウドに上げることに対して警戒感を持つ人が多い」(説明員)。そうした“クラウドレス”へのニーズに応えるのが、アイティアクセスのZETA対応オンプレサーバーソリューション「ZETA Server Edge」だ。
同ソリューションはイノテック製の小型サーバー「EMBOX」に機能を集約。ZETA対応センサーを設置しサーバーを起動すれば、すぐにデータ収集を始めることができるという。データをローカル内に完結させられる安全性と、導入・運用コストを抑えられることが特徴だ。
「ZETA Server Edge」の機器構成例。左端の銀色の筐体が「EMBOX」
また、ZETA Server EdgeはNode-REDに対応。データを可視化するアプリをローコードで簡単に開発できることもポイントだ。
“共創の力”でリアルビジネス拡大
諸井氏は、「アライアンスの共創の力によって、リアルなビジネスが進んでいる」と話す。通信機器やセンサーのメーカーだけではZETAの社会実装は実現できず、電池メーカーや工事業者などとの異業種連携が普及のカギを握っているというわけだ。
その一例がベイシスだ。同社は設備工事を行う企業だが、作業の効率化のために現場作業をDXするクラウドサービス「BLAS」を開発。多数のデバイスを一元管理できることがZETAの特徴とマッチし、「これがあるから自治体案件が獲得できた」(諸井氏)。
ベイシスの現場DXクラウド「BLAS」におけるデバイス一覧の画面例
「ZETAはすでに実装フェーズに入っており、ニーズを汲み取ったアプリ開発が進んでいる」と諸井氏。社会課題の解決手段として、ZETAの存在感は確実に高まっている。
会期3日目の30日10:30からは、セミナー会場Bでアライアンス加盟企業が登壇する「社会課題に立ち向かうZETAソリューションセミナー」も開催される。