IoTベンチャーのエイラネットワークスは「キッチン起業」

シリコンバレーを拠点とするベンチャーで、IoT専用のクラウドプラットフォームを提供するエイラネットワークス(Ayla Networks)が、日本市場に本格的に参入した。

同社は、インターネットへのセキュアな接続と、クラウドをベースとするIoT専用のPaaS(Platform as a Service)ビジネスを米国、中国、欧州、台湾などで展開してきたが、日本でも「家電IoT」を強みにビジネスを進める。

エイラは「キッチン起業」エイラは、2010年米国シリコンバレーのサンタクララ市において4名で創業、現在は各国で従業員150名。設立した頃は、IoTという言葉はなかったが、いずれいろいろなモノがインターネットにつながると、CEOのデビッド・フリードマン(David Friedman)氏は予測していた。

ヒューレット・パッカードやアップルは自宅のガレージからモノづくりを始めたことで知られているが、フリードマン氏は「当社はキッチン起業だ」とその創業精神を語る。

エイラネットワークスCEOのデビッド・フリードマン氏

エイラは当時、白物家電をインターネットにつなげる対象とみて、食洗器や炊飯器などにセンサ端末(IoTデバイス)をつけてインターネットに接続した。

消費者は家電製品をどのように使っているのか、スイッチを入れる時刻や使い勝手、頻度などの利用データと、家電に組み込まれたモータやヒーターなどの回転数や温度履歴、ファンに付着するゴミの量など製品ハードのデータを集めて分析すれば、メーカーは次の製品開発に生かすことができる。

もはや、消費者の声を聴くために、メーカーが消費者にアンケートを取るといった過去のマーケティングは不要になるだろうとフリードマン氏は言う。

一方、消費者にとっては、スマートフォンを使って1つの家電だけではなく、エアコンや照明とも連携して、外出先からも稼働状況を確認したり、電源のオンオフといった制御ができるメリットがある。

クラウドとセンサやユーザーの履歴を利用して、売り上げアップにつなげようとしている企業には、AppleやAmazon、Googleなどの大手クラウド事業者がいる。彼らは独自のセキュアなクラウドを構築し、ユーザーは意識することなくクラウドを利用している。

これに対し、一般の製造業や中小企業にとって、クラウドを効果的に活用して生産性や売り上げをあげることは容易ではない。また、高信頼性・高アベイラビリティ・高セキュリティなクラウドを構築しそれを利用することはITベンダーではない企業には厳しい。

そこで、安全でセキュアなクラウドを提供して、製造業や中小企業の生産性向上や売り上げ向上を支援することが、エイラのクラウドを活用したプラットフォームの狙いである。

エイラのプラットフォームでは、製造業や中小企業が、自社製品のインターネットと接続する仕様を自由に設定したりデータを解析できるツールを提供する。エイラはユーザーの製品(IoTデバイス付き)ごとに一つのプラットフォームで設定からデータ収集・分析までのツールを提供するため、ユーザーは自分でクラウドを構築しIoTデバイスとの接続や認証などに煩わせることがなく、自社製品の開発に集中できる。

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