――大企業を中心に販売してきたWeb電話帳「Phone Appli Collaboration Directory(PACD)」に加えて、昨年からNTT東日本/西日本との協業で中堅中小企業(SMB)向けサービスの販売にも乗り出しました。今後の方向性と、新社長としての役割についてどう考えていますか。
石原 PACDはシスコのUCと連携するWeb電話帳として成長してきた製品であり、私もシスコ時代からパートナーとして一緒にビジネスをしてきました。入社前の印象は“テクノロジーオリエンテッドなベンチャー企業”というもので、さらに言えば、業界の方々も当社に“シスコの付録”的な印象を持たれているでしょう。私の役割は、そうしたイメージから脱して次のステージに引き上げること、自ら戦略を打ち出して新市場を拓くことだと考えています。
シスコシステムズにおいてマーケティング・営業、エバンジェリストとして日本のユニファイドコミュニケーション市場の拡大に取り組む。2015年に同社を退社後、今年2月1日にPhoneAppliの代表取締役社長に就任した |
通信キャリア軸に提携を拡大――PACDは国内シェアNo.1(MM総研調べで2015年シェア75%)と確固たる地位を築いています。
石原 PACDは実は、シスコ製品と連携して用いられるだけでなく、PACD単独でアドレス帳管理や従業員検索に使われているケースもたくさんあります。Web電話帳単独でも価値のあるソリューションであり、お客様からは、誰でも1日に2~3度は使う「最も視聴率の高いアプリ」と評価されています。
――今後はSMB市場の開拓するための新たなパートナーが焦点になりますね。
石原 PACDをベースに昨年、SMB向けのクラウドWeb電話帳「PAクラウド」を始めました。
NTT東西のビジネスホン(αA1)と連携するクラウドUCサービス「αUC」「スマート光ビジネスUC」はPAクラウドをベースとしており、この協業によってSMBにUCを提供する事業がスタートしました。さらに、大塚商会やリコージャパンとの協業も進めています。
もちろんシスコは今後もグローバル標準のUCを提供するための重要なパートナーです。また、NTTコミュニケーションズとの協業も従来から進んでいます。
NTTドコモ、KDDIとはFMCで協業しています。ドコモの法人向けサービス「ビジネスプラス」でPAクラウドが電話帳アプリとして提供されており、KDDIのビジネスコールダイレクトともPACDは連携しています。
――パートナーの拡充は順調に進んでいるということですね。
石原 我々は日本企業に対して幅広く新たなコミュニケーションのやり方を提供する「日本のUCをリードする会社」になろうとしていますが、パートナー戦略はそのための肝になると考えています。
その一方、フォンアプリが先頭に立ってUCのニーズを開拓する取り組みも新たに始めています。これまでPACDで培ったノウハウを元に、ワークスタイル変革のコンサルティング提案を大企業向けに始めています。実際、お客様からワークスタイル変革のアドバイスを頼まれ、そこからビジネスに発展するケースが増えてきました。