モバイルワークの6割以上が私物デバイス講演の後半では、こうした考え方を踏まえて、日本ユニシス自身のワークスタイル変革への取り組みが紹介された。
日本ユニシスは、2004年にノートPCとハードディスク暗号化、VPNを利用してオフィスの外でも仕事ができる環境を構築、あわせて時間外労働などの社内規定も整備している。
2007年には社用携帯電話からのメール・社内電話帳の利用を開始、2008年にはUSBスティックをPCに挿入することでセキュアブラウザを使ってイントラネットにアクセスできるソリューションSASTIK(サスティック)を用いて在宅勤務ができる体制を整えた。2012年にはVDIによる在宅勤務も可能にしている。
2013年にはスマートデバイスによるBYODを試行的にスタートさせ、今年9月から日本ユニシスグループの従業員、約8000名を対象にスマートデバイスを活用したモバイルワークの本格運用を開始した。
同社は2015年度からの中期経営計画の一環として、場所や時間に縛られず働ける環境を、ICTツール、オフィス設備の整備、制度や従業員の意識改革などトータルの施策によって実現する「働き方改革」を推進している。今回スタートしたモバイルワークはその目玉となるものだ。
日本ユニシスはワークスタイル変革を実現の寄与する様々なICTツールを取り扱っているが、このプロジェクトは、これらを自ら活用して変革を推し進めようとするものといえる。丸尾氏は、今回本格運用がスタートしたモバイルワークの基盤となるモバイルゲートウェイサービス「mobiGate」を中心に、社内での利用状況を踏まえて製品・サービスの概要を説明した。
日本ユニシスが取り扱っているワークスタイル変革ソリューション |
mobiGateは、モバイルデバイスに専用アプリを導入し、日本ユニシスが運用するゲートウェイを介して、企業の業務システムに安全に利用できるようにするサービスだ。グループウェアやファイルサーバーなどのほか、アダプターモジュールを開発して様々な業務システムを利用することが可能となる。前述の3つの類型では「モバイルアクセス」の領域を広くカバーするツールとなる。
mobiGateのサービスイメージ |
ゲートウェイに接続する際にID、パスワードで認証することでセキュリティを確保し、職種や部署によるアクセス制限なども実現している。
端末側には一切データを残さないため、モバイルデバイスの業務活用で問題になる端末の紛失・盗難などによる情報漏えいのリスクが極めて低い。スマホ/タブレットのアプリとして作られているため、セキュアブラウザを用いたソリューションなどに比べて、使い勝手に優れている点も大きな特徴となる。
もう1つmobiGateの大きな特徴となるのがBYODへの対応のしやすさだ。他のアプリと切り離されて運用され、デバイス内にデータを残さないためMDMの実装やアプリの導入制限など、私物デバイスの個人利用に制約を加えなくて済むからだ。導入もmobiGateアプリをアプリストアからダウンロードするだけと手軽に行うことができる。
実際、日本ユニシスが今回本格導入したモバイルワークのシステムに接続される端末の66%が私物デバイスで、利用者の70%以上が日常的に利用しているという。すでに同社の業務に欠かせない存在になりつつあるのだ。
丸尾氏はこの他にも「モバイルアクセス」分野のツールとして外出先に安全にファイルを持ち出せる共有サービス「SecureFiles+」、「デスクトップアクセス」で使われるVDIの「Citrix XenDesktop」および「VMware Horizon View」、「ユニファイドコミュニケーション」の「Skype for Business」を紹介。
「ワークスタイル変革の選択肢となる多様なICTソリューションの提供を通じ、企業の競争力強化に貢献してきたい」と講演を締めくくった。