ビッグデータも強みになる――IoT用のプラットフォームは、コンピュータ系のベンダーも力を入れている分野です。どのような点がファーウェイの製品のセールスポイントになるのですか。
周 私共の強みの1つは通信分野で多くの経験を積み、装置の接続やマネジメントの分野を深く理解していることにあると思います。もう1つ、当社はビッグデータの解析に関わる技術開発に非常に力を入れており、ここも当社の大きな強みになっていくと考えています。
――用途別ではどのような分野に力を入れているのですか。
周 IoTでは、交通、エネルギー、製造業、家庭、eヘルスなどの分野に焦点を置いています。
例えば交通分野では輸送中の荷物がどこにあるかを管理するなど、さまざまな用途でIoTが使われています。エネルギー分野でもIoTの活用で人が定期的に巡回しなくても、パイプラインなどの状況を確認することができるようになります。最近ではIoTで得られたデータを活用し、故障対応などを効率的に行うCBM(Condition Based Maintenance)という技術が注目されており、当社はここに力を入れていこうとしています。
製造業の分野では、ドイツでIoTや人口知能を活用して工場などの生産性を大幅に高めるIndustry4.0という国と産業界の協同プロジェクトが注目されています。
――CBMとは具体的にどのようなものなのですか。
周 稼動中の設備に対し、定期的に機器交換などのメンテナンスを行うのではなく、センサーなどで集約したデータを元に次に何が起きるかを予測し、効率的な保守対応を実現しようするものです。製品としては具体的な形にはなっていませんが、非常に大きなニーズがある分野だと考えて力を入れています。
――製品やサービスを直接企業に提供することも想定しているのですか。
周 当社が前面に出るのではなく一歩引いたところで、通信事業者やパートナーの皆様のビジネスを支えていきたいと考えています。まず当社の主要なお客様である世界の主要な通信事業者には、サービス展開に役立つ製品を提供していくことに力を入れています。そしてもう1つ、パートナーを通じて私共の技術・製品をより多くのお客様に提供していくことにも注力して参ります。Industry4.0ではSAPやシーメンスなどとの協業によってこのビジネスに取り組んでいます。
――日本のIoT市場ではどのような分野に期待が持てると考えていますか。
周 日本はすでに自動販売機のネットワーク化や交通系カードが広く普及しているIoTの先進市場で、当社も大きな期待を持っています。ただ、日本の場合はドイツのIndustry4.0のように特定の分野が大きく伸びるというようなことは起きないのではないでしょうか。むしろ交通や家庭など広い分野でIoTの利用が広がっていくのではないかと思います。例えば大手の通信事業者が注力されているヘルスケアなどの分野は高齢化が進む中、期待の持てる分野の1つになると思います。ファーウェイは多様な技術・製品を通じて通信事業者のIoTビジネスを後方から支えていきたいと考えているのです。
10月8日(木)御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターで開催する「M2M/IoTカンファレンス2015」において、周 明成氏が登壇します。
★お申し込みはこちらから→ http://www.ric.co.jp/expo/m2miot2015/