離乳食の作り方も動画で分かりやすく説明より“効果的”な保健指導にもタブレットは貢献している。
これまでの保健指導と比べて変わったのはまず、クラウド上に保存された資料の中から、使いたい資料をすぐに見つけ出し、説明に活かせるようになったことだ。タブレットの場合、大事な部分を拡大表示できるため、紙よりも分かりやすく説明できる点も大きいという。
また、市民からの質問に対して、インターネットで調べて、その場で即座に対応できるようにもなった。例えば、よくあるのが、服用している薬に関する質問。ジェネリック医薬品が普及した今、同じ有効成分の薬が様々な名称で処方されている。そのため保健師でも、薬の名前だけではどんな薬なのか分からないケースが増えているそうだが、そんなときもタブレットにインストールしてある薬に関するアプリで調べ、すぐ回答できるようになった。
低体重で生まれた赤ちゃんのいる家庭に保健指導のため訪れた佐賀市 保健福祉部 健康づくり課 母子保健係の和田歩氏(左) |
健康づくり課では、母子向けの保健指導も行っているが、そこでもタブレットは活躍している。例えば、離乳食の作り方。「やはり“百聞は一見に如かず”です。言葉で説明するよりも、離乳食の作り方を撮影した動画をタブレットで見てもらうほうが、すぐに理解してもらえます」と健康づくり課 母子保健係 保健師の和田歩氏は話す。
動画で実際の作り方を見せながら、離乳食について説明する和田氏 |
目標はタブレットの全庁展開タブレットの導入から約1年――。確かな手応えを得た佐賀市の次のステップは、タブレットの活用をさらに広げていくことだ。
「業務改善と市民満足度の向上を実現するため、もっと多くの部署でタブレットを積極的に活用してもらいたいと考えています」とIT推進係長の中村氏は話す。
実際、健康づくり課をはじめ、多くの部署で成果が出ているのを受けて、「うちの部署でもタブレットを活用したい」といった声が続々と挙がっているそうだ。
「特に要望が多いのは、河川や道路の調査や収納業務など、現場での活用です」
タブレットの活用を高度化させていくうえでは、「個人情報の取り扱いをどうするか」という課題もある。健康づくり課もまだ現在のところは、個々の健診結果といった個人情報は紙ベースで扱っている。
しかし、佐賀市ではこうした課題もしっかりクリアしながら、タブレットの活用を全庁規模に拡大していくと同時に、さらに進化させていきたい考えだ。