「1つひとつのモノに情報を付けていくという、この泥臭いサトーという会社が、IoTの時代にどんな価値を提供できるのか。通信や物流の世界ではラストワンマイルが最も大変で手間がかかるといわれるが、人・モノ・情報をつなぐ“最後の1cm”に私たちの立ち位置を決めた」
ラベルプリンタやRFIDなどの自動認識ソリューションを展開するサトーグループは2015年7月28日、事業戦略説明会を開催。サトーホールディングス 代表取締役執行役員社長 兼 CEOの松山一雄氏は、IoT時代に向けた基本戦略をこのように語った。
サトーホールディングス 代表取締役執行役員社長兼CEO 松山一雄氏 |
「ユビキタスコンピューティングを提唱された東大の坂村健教授は、『IoT時代に一番重要なのは、むしろセンサーや情報が、最初から付いていないモノ』とおっしゃっている。99%以上のモノにはセンサーや情報が付いていない。それに誰がタギングするのか。坂村先生には、『そこをサトーさんがやるべきだ』と言っていただいている」
バーコードやRFIDといった自動認識技術を活かし、仮想と現実の世界をつなぐ。IoTの“最後の1cm”を「サトーが押さえる」(松山氏)という戦略である。
IoT時代に、人・モノ・情報をつなぐ「最後の1cm」を狙うサトー |
IoTを用いたラベルプリンタの保守サービスを提供そして、IoTを活用した具体的ソリューションとして発表されたのが、IoTを用いた保守サービス「サトーオンラインサービス(SOS)」と、これに対応するラベルプリンタ「スキャントロニクス CL4/6NX-Jシリーズ」だ。産業用ラベルプリンタにおいて、IoTを実装したサービスは世界初だという。
SOSは、「バーチャルカスタマエンジニアを、お客さまのそばに」がコンセプトのIoTサービス。従来、サトーのカスタマエンジニアが現場に駆けつけないと復旧できなかったようなトラブルも、今後は遠隔サポートによりスピード解決できるようになるという。
SOSのコンセプトと利用メリット |
その具体的な仕組みだが、IoTによりラベルプリンタの稼働状況を24時間365日遠隔監視することで、トラブルの原因を遠隔から把握。サポートセンターのオペレーターが、電話を通じて解決をサポートする。対応ラベルプリンタであるCL4/6NX-Jシリーズには、エラーコード別に解決方法を説明した動画が格納されており、オペレーターの遠隔操作によって、該当の動画をラベルプリンタのディスプレイ上に再生させることもできる。
さらに、ラベルプリンタには搬送部やサーマルヘッドなどの消耗品があるが、これらの使用状況を遠隔監視し、問題発生前の交換・保守に活用するといったことも可能だ。
ユーザー向けのダッシュボード画面。ラベルプリンタの稼働状況を遠隔から把握できる |
なお、SOSのサービス基盤は、セールスフォース・ドットコムのクラウドサービスを使って構築されている。また、CL4/6NX-Jシリーズは、無線LAN機能を搭載しており、これによりクラウドと接続する。