NTTコムのNFVへの期待「一番はスピード感」
NTTコミュニケーションズの棚橋弘幸氏がNFVに一番期待していることとして挙げたのは「スピード感」だ。「お客さんからすれば、専用ハードでも仮想アプライアンスでも使えればいい。そのなかで、どこに期待するかというと、やはりスピード感。納期にしても、ハードだと時間がかかるが、ソフトであればすぐに提供できる」
NTTコミュニケーションズ 技術開発部 担当課長の棚橋弘幸氏。技術開発部は、新サービスの開発を担っている |
例えば棚橋氏はInteropのShownetのNOCメンバーを務めているが、昨年は出展社向けネットワークの構築にNFVを活用した。「Interopの出展社数はものすごく多いが、“物理”を増やすのと違い、NFVなら全部コピー、コピーで増やしていける。30出展社分のネットワークが40~50分でできた」という。
納期や故障対応の迅速化への貢献を期待 |
さらに棚橋氏は、故障対応、DevOps、サービスチェイニングの観点からも、NFVのスピード感への期待を語った。
まず故障対応については、従来の専用ハードウェアの場合、「オンサイト(保守)にしてもセンドバック(保守)にしても時間がかかる」。しかし、汎用サーバー上で稼働する仮想アプライアンスなら、「バックアップを取っておき、それを(別の汎用サーバー)にポイッと戻すだけ」で済むようになる。
「これまでからサーバーの世界ではよくやられていたことだが、それがネットワークの世界でも使えるようになり、時間短縮になる」
DevOpsとサービスチェイニング |
また、DevOpsについては、「ハードを並べて検証し、また本番環境をもう1回作り直すということをしなくても、同じサーバーだけ用意しておけば、検証環境で作ったそのままをコピーして持っていくことで本番環境を作れる」とNFVが果たす役割を説明した。
ちなみにDevOpsとは、「Development(開発)」と「Operations(運用)」の2つを組み合わせた言葉。開発担当者と運用担当者が連携して開発を進めるソフトウェア開発手法のことで、迅速な開発を可能にするとして、昨今脚光を浴びている。
最後のサービスチェイニングについては、こう話した。
「例えば、最初はルーターとファイアウォールくらいでサービスを始めたが、やはりお客さんの要望で『DPIが欲しいよね』となってきたとき、ソフトウェアを追加してつなげば、DPIオプションみたいなものがすぐに作れると思っている」
サービスチェイニングとは、個々のユーザーや用途などに応じて、必要なネットワーク機能をつないで提供することで、NFVの主要なユースケースの1つとされている。