総務省は7月25日に下り最大1Gbpsの高速データ通信を実現する能力を持つ第4世代移動通信規格(4G)のLTE-Advanced用周波数帯として新たに3.5GHz帯を携帯電話事業者3社に割当てる方針を打ち出した。
携帯電話3社は2016年に3.5GHz帯の利用を開始、3Gから4Gへの移行が本格化するものと見られるが、その次の第5世代移動通信規格(5G)の実用化に向けた動きがすでに活発になってきている。
5Gは2020年以降の実用化が見込まれている新しい移動通信システムだ。具体的な技術仕様は決まっていないが、海外では2012年に設立された欧州の推進プロジェクト「METIS(Mobile and wireless communications Enablers for the Twenty-twenty Information Society)」が1000倍のモバイルデータトラフィックへの対応、1~10Gbpsの最大通信速度を実現するなどのコンセプトを2013年初頭に発表、韓国の「5Gフォーラム」や中国の「IMT-2020 推進グループ」などの推進組織でも同様の検討が進められている。こうした動きを受け、ITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)でも標準化に向けた議論が始まっている。
国内では、3G/LTEの開発を主導してきたNTTドコモが「Future Radio Access」の名称で2010年頃から5Gの研究に取り組んでおり、2014年5月には国内外のベンダー6社と共同で要素技術の実用化に向けた実験を実施することを発表するなど、技術開発のペースを早めている。
昨年10月に開催された「CEATEC JAPAN 2013」で、NTTドコモは自ら構想する5Gシステムのコンピュータシミュレーションを出展、注目を集めた |
今年7月には、総務省の有識者会議「電波政策ビジョン懇談会」が中間とりまとめで「2020年に世界に先駆けて5Gを実現」することを提言、これを受けて総務省は産学官の共同プロジェクトとして5Gを推進する方針を打ち出した。東京オリンピック・パラリンピックに合わせて5Gを実用化、日本のICT産業の先進性を世界にアピールしようというのである。
この5Gは、具体的にどのようなものになり、移動通信の利用形態や通信ビジネスをどう変えることになるのか。Part1では、まずそのコンセプトとサービスイメージを見ていく。