ユーザー企業が最も注目すべきM2Mは「社用車のネットワーク化」
桑津氏によれば、今後5年間で最もネットワーク化が進み、ユーザー企業側でも注目しておくべきM2Mの領域はクルマだという。「社用車のネットワーク化について、気を付けておく必要がある」
また、“来年から”といったことはないが、将来的には、従業員の健康管理も入ってくる。「医療・診療はさすがに違うが、従業員の健康管理については、企業側できちんとやっていこうという方向にある。特に、健康管理組合を持っている企業では、『何とかしないと』という議論になっている」。そこで、体重計や血圧計、血糖値計などをネットワークにつなぎ、M2Mの仕組みにより従業員の健康管理を行う企業が将来増えていくという。
図表3 M2Mビジネスの課題 |
このようにネットワーク担当者は今後、「若い人のコミュニケーションスタイルも、クルマも、従業員の健康管理も面倒みないといけないと、予想以上にやるべきことは増えてくる」と桑津氏。そのため、従来とは管理手法自体も大きく変えていく必要があるというのが同氏の意見だ。これまでのネットワーク管理を“牧場”的と表現したうえで、今後は“動物園”的な管理が求められるとした。
従来の企業ネットワークはシンプルであり、シンプルな方法で管理できた。しかし今後は、象とアシカでは全く異なる飼育方法が求められるのと同じように、多様化するネットワークをきめ細かく管理していく必要があるという意味だ。
過去のネットワーク変革は、デジタル化、モバイル化、ブロードバンド化といったキーワードで語ることができた。だが、これから起こる変革は、このような1つのキーワードで表すことはできない。
「サーバーなどネットワークの上下にあるレイヤや、様々なエコシステムなどがネットワーク上にたくさん載ってきて、これらの面倒も見ていくことが必要になっていく」――。これが2020年に向かって起こる企業ネットワークの変革のポイントだとして、桑津氏は講演を締めくくった。