M2Mで古紙回収を劇的カイゼン!――ポイントカードで回収場所や消費者にもメリット提供

M2Mを活用した「古紙回収システム」が成功を収めている。古紙回収業者だけでなく、古紙回収端末の設置先であるスーパー、古紙を持ち込む消費者の三者それぞれにメリットが出るように工夫したのが成功要因だ。

インターネットイニシアティブ(IIJ)のサービスを利用したM2Mシステム「古紙回収システム」が四国から始まり全国に広がりつつある。

古紙回収システムとは、スーパーマーケットなどの古紙回収場所に、古紙の重さを計る古紙回収端末を設置。そのデータをリアルタイムでクラウドセンターに送り、クラウド上で一元管理することで、古紙の回収作業を効率化するためのシステムである。

古紙を回収場所に出す消費者に対してはポイントカードを発行し、ポイントは古紙回収場所を提供するスーパーマーケットなどで使えるようにする。古紙回収場所に貯まった古紙の分量に関する情報は、クラウドから古紙回収業者/問屋に日次でデータ配信され、回収作業の採算性を向上できる仕組みだ。

図表 古紙回収システムの概要
古紙回収システムの概要

きっかけはリーマンショックによる資源相場の下落

この古紙回収システムは、現在は四国を中心に54台が稼動中で、さらに四国以外の地方にも広がり始めている。「全国の古紙回収システムのうち約1割のシェアとみています。一番成功している古紙回収のM2Mモデルだと言われています」と自信をみせるのは、システムの構築・運用を手がける四国のSIer、えむぼま社の森正彦氏だ。

えむぼまが愛媛の古紙回収問屋の依頼を受け、IIJのサービスを活用して古紙回収システムを構築したのは前述の通り、2009年のことだ。当時はリーマンショック直後で資源相場は最悪の状態にあり、回収した古紙の売上と回収コストの採算が合わないという、古紙回収業界はかつてない苦境にあった。そうしたなか、えむぼまは古紙回収問屋から「古紙が回収ボックスに集まってから回収できる効率的な仕組みがほしい」という要望を受けた。

従来の古紙回収業は定期的に各地の古紙回収ボックスを巡回するが、毎回決まった量を回収できないことが課題となっていた。巡回した回収ボックスに古紙が入っていなかった場合、燃料、車の償却費、1人あたりの人件費が損失になる。

さらに過積載の問題もある。これまでは積載量を超える量の古紙が回収ボックスにあると、回収せずに戻って荷台を空けてから再度回収に向かわなければならなかった。また、「少しなら大丈夫だろう」と過積載を承知の上で回収し、検挙された例もある。

月刊テレコミュニケーション2014年4月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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