IDC入谷氏「第3のプラットフォームへの投資で出遅れる日本企業」

「企業がイノベーションを起こすために、ITインフラの変革が求められている」――。IDC Japanの入谷光浩氏は2014年4月に行われたA10ネットワークスのプライベートイベント「A10 Forum 2014」で講演し、こう主張した。そこで必要とされるのが、同社の提唱する「第3のプラットフォーム」への移行だ。

日本企業も「第3のプラットフォーム」への投資を増やすべき

入谷氏は、第3のプラットフォームを用いてイノベーションを起こすためのポイントを3つ掲げた。1つは第3のプラットフォームを支えるデータセンターの変革。新しいプラットフォームを構築するには、それに対応できるインフラが必要だという。

2つめはサービスプロバイダーからのITの調達。ハードウェアやソフトウェアを購入してシステムを構築するのではなく、クラウドのようにサービスプロバイダーからITの機能を提供してもらうことである。

3つめはIT導入の意思決定プロセスにおける事業部門の関与。当然のことだが、ITを利用するのは情報システム部門ではなく、事業部門のスタッフである。事業部門のスタッフが使いやすいITを用意するためには、IT導入の意思決定プロセスに彼らが関与できるようにする必要がある。

「企業が新しい市場に参入し、新しい顧客を獲得していくためには、産業自体にイノベーションを起こす必要がある。そこで求められるのが既存概念にとらわれない新しいICTソリューションであり、第3のプラットフォームはそれを生み出す土台となる」。入谷氏はこう強調した。

ところが、世界中の企業が第3のプラットフォームへの投資を積極的に行っているなかにあって、日本企業は後手を踏んでいるという。2013年~2020年の第3のプラットフォームへの投資率を見ると、全世界では11.7%上昇しているのに対し、日本企業はその約半分の6.1%でしかない。

「世界の企業は、第3のプラットフォームへの投資を加速させ、イノベーションを起こそうとしている。日本企業も第3のプラットフォームへの投資にドライブをかける必要がある」と入谷氏は指摘する。

世界と比べて遅れている日本企業の第3のプラットフォームへの投資
世界と比べて遅れている日本企業の第3のプラットフォームへの投資

「第3のプラットフォーム」への移行に欠かせない「仮想化」

では、現状の第2のプラットフォームをベースとしたITインフラには、どんな課題があるのだろうか。入谷氏は、個別最適化や異機種混合環境、高コスト体質、非効率なリソースの使用、運用管理の複雑化と硬直化などの課題を挙げた。

そのうえで、「これらの課題の解決に向けて重要となるテクノロジーが『仮想化』であり、第2のプラットフォームから第3のプラットフォームへ移行する際に欠かせない技術である」と説明した。仮想化をうまく活用して第3のプラットフォームへ移行することにより、従来のITインフラの課題は解決するという。

仮想化が第3のプラットフォームへ移行するうえでのキーテクノロジーになる
仮想化が第3のプラットフォームへ移行するうえでのキーテクノロジーになる

「仮想化ソフトウェア市場はこの5年間で5倍に成長している。2013年には仮想マシンが物理マシンの出荷台数を上回るようになり、今やITインフラのデファクトスタンダードになっている」

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