【広島ガス】ガス業界初、全41万2千戸のメーター取替業務をスマホで効率化

業界で初めて、ガスメーターの取替業務にスマートデバイスを導入した広島ガス。同社がスマートデバイスでモバイル化する現場業務は、これが3つめだ。それゆえ、シンクライアントとネイティブアプリのハイブリッド、QRコードやモバイルプリンターの活用、廃棄物ゼロエミッションの実現など、見どころ盛りだくさんのシステムとなっている。

“スマホ嫌い”の現場作業者も、新システムの前倒し導入を熱望

前述の通り、システムが全面的に運用をスタートしたのは、2013年8月のこと。しかし実は、当初計画では10月開始の予定だった。2カ月も早くなったのは、現場からの要望に押されてのことだったという。

「ガスメーター取替業務の担当者の年齢層は高く、平均で49歳。60代後半の方もいます。当然、個人ではスマートフォンを持っていない人もたくさんおり、現場教育は半年くらいかけて丁寧に行う予定でした。しかし、それでも中には、『スマートフォンは使いこなせない』と抵抗感を示す人もいました」と辻山氏は明かす。

にもかかわらず、なぜ最終的には、予定より早い全面スタートを切れたのだろうか――。

早期導入を求める声が、現場から上がった理由は他でもない。現場教育で実際に新システムに触れた1人ひとりが、「作業効率の向上に大きく貢献する」と確信したからである。「当初は難色を示していた人も、実際に試してみると思いのほか操作が簡単で、途端に『これは早く導入してもらわないと困る』となりました」と辻山氏は語る。

QRコードでメーター情報を効率的かつ正確に入力

スマートフォンがもたらした変化は、まず伝票がなくなったことだ。以前のように紙の伝票を並び替えて訪問計画を立てる必要はない。スマートフォンの画面上で、住所別や有効期限別などでガスメーターの取替が必要なお客さま情報を見ることができるようになった。

また、たくさんの伝票を持ち歩く必要はなくなり、シンクライアントなので個人情報漏えいの懸念も消えた。

お客さま宅に到着してからの作業も効率化した。広島ガスでは今回のシステム導入に先立ち、新しく取り付けるガスメーターにQRコードを貼付。スマートフォンでのQRコード読み取りにより、ガスメーターの情報を自動入力できるようにした。このため手書き入力の手間が減り、入力ミスもなくなった。

取替作業が完了すると、お客さまからサインをいただくが、そのサインもスマートフォンの画面上に直接書いていただく仕組みだ。お客さま用の作業完了報告書は、スマートフォンと一緒に携行しているBluetooth対応のモバイルプリンターで出力して手渡す。

スマートフォンとモバイルプリンター
真ん中がモバイルプリンターで印刷した作業完了報告書。スマートフォン上に書いてもらったサインも報告書には印刷される

モバイルプリンターは、新旧それぞれのメーターに貼り付けるシールを印刷するためにも利用しているが、そのシールにも工夫がある。一般的なシールは台紙を剥がす必要があるため、廃棄物が発生する。そこで広島ガスでは、台紙の一部が接着用にめくれるだけで全部は剥がれないタイプのシールを採用し、廃棄物ゼロエミッションを実現した。

さらに、検針情報のシステム反映にかかる時間も早くなった。伝票によるバッチ処理だった従来は、ガスメーター取替から2営業日後の反映だったが、新システムでは翌日反映と早期化している。

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