私たちの生活に欠かせないインフラである都市ガス。その都市ガスの安定供給と保安確保を支える現場で最近、スマートデバイスが欠かせないツールになろうとしている。なかでも先進的な取り組みで知られるのが、広島市や呉市、尾道市など、広島県内の6市4町に都市ガスを供給する広島ガスだ。
広島ガスの本社ビル(左)。本社ビルのすぐ近くには都市ガスの貯蔵タンクもある |
広島ガスは約3年前から、スマートデバイスを活用したシンクライアントシステムを現場業務に導入し始めた。
「以前から専用業務端末(PDA)や携帯電話でモバイル化を進めていましたが、3年ほど前からタブレットが製品として安定してきたことから導入を決めました。シンクライアントであれば端末にデータが残らないため、紛失しても情報漏えいのリスクがありません」と同社 エネルギー事業部 お客さま部長の辻山圭氏は話す。
広島ガス エネルギー事業部 お客さま部長 辻山圭氏 |
スマートデバイス導入の第一弾となったのは、ガス設備の保安点検業務だった。従来はPDAを利用し、現場で入力したデータを帰社後にPCに接続して保安点検システムに転送していたが、7インチのタブレットを活用したシンクライアントシステムに刷新。約60名の担当者向けにセキュリティを確保しながら業務の効率化を図った。
第二弾は、お客さま宅を訪問してガス栓の開閉やガス機器の修理を行うサービス業務だ。11店舗あるガスショップの担当者約180名が、7インチと10インチのAndroidタブレットを活用している。
そして、第三弾となるのが、今回取材したガスメーターの取替業務への導入である。
辻山氏によると、サービス業務、保安点検業務、ガスメーター取替業務の3つが、現場での主な定型業務だという。つまり、広島ガスは、すべての主要定型業務のスマートデバイス化を完了した。全国に都市ガス事業者は209社あるが、ガスメーター取替業務にスマートデバイスを活用したシステムを採用したのは、広島ガスが初となる。