3大キャリアのGoogle Apps/Office 365営業戦略(3)NTTドコモ編ドコモのスマートデバイス移行促進戦略の要を担うGoogle Apps

以前からGoogle Apps for Businessの販売に注力するソフトバンクに続き、NTTドコモ、KDDIもGoogle AppsやOffice 365の取り扱いを開始している。3大キャリアが揃って、グローバルプレイヤーの企業向けSaaSに取り組む狙いと、各キャリアの営業戦略をレポートする。

「法人市場はまだフィーチャーフォンユーザーが多く残っており、スマートデバイスへの移行を促すにはソリューションと組み合わせた提案が不可欠です」。NTTドコモ 法人事業部 法人ビジネス戦略部 総合サービス担当部長 兼 事業企画担当部長の高橋肇氏は、法人モバイル市場の現状についてこう説明する。

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NTTドコモ 法人事業部
(左から)NTTドコモ 法人事業部 法人ビジネス戦略部 事業企画・クラウド企画担当課長 岩?隆司氏、同 総合サービス担当部長 兼 事業企画担当部長 高橋肇氏、電算システム システムエンジニアリング事業部 営業部次長 相村崇氏

ドコモはこれまでグループウェアや遠隔制御、通話録音などのクラウドサービスを自社ブランドで展開してきたが、スマートフォン/タブレット競争がいよいよ熾烈化する中で、企業ユーザーにスマートデバイスの利便性を実感してもらい、導入のハードルを下げる目的から、より汎用的なソリューションのラインナップ強化を求められていた。

日本企業からも有力クラウドサービスとして注目を集め、グローバルなブランド力を持つGoogle Appsの販売に参入したのはナンバー1キャリアとしては当然の動きともいえる。

ドコモの法人営業は、大企業を担当する第一および第二法人営業部と、中堅中小企業を受け持つ第三法人営業部に分かれる。中堅中小企業向けのイメージがあるGoogle Appsだが、第一および第二法人営業部でも取り扱う。「当社のソリューション営業は個別SIが主流でしたが、大企業でもクラウド型への関心が高まっており、引き合いが来ています」と法人事業部 法人ビジネス戦略部 事業企画・クラウド企画担当課長の岩?隆司氏は話す。

教育機関向けにも展開

Google Appsは、フィーチャーフォンでもメールやスケジュール、ドキュメントの確認など一部の機能が利用可能だ。デバイスやOSに関係なく使えることから、まずは全社導入を推進し、利便性を理解してもらった上でスマートデバイスへの移行につなげたい、とドコモでは考えている。

全社規模でのシステム導入の際にはより充実したサポート体制が不可欠となるため、SIerの電算システム(以下DSK、本社:岐阜県岐阜市)とパートナー契約を締結した。

DSKは2006年に日本で最初のグーグルの「エンタープライズパートナー」に認定され、2008年からはGoogle Appsを展開している。これまでに約11万IDとソフトバンクテレコムに次ぐ導入実績を持ち、日本国内での業績を評価する「Google Enterprise Japan Partner Award」を6年連続受賞している。

「グーグルのエンタープライズビジネスに長く携わってきた経験上、日本企業向けに補うべきアドオンサービスを提供できます」とシステムエンジニアリング事業部 営業部 次長の相村崇氏は自社の強みを説明する。

DSKはGoogle Appsの導入コンサル、トレーニング、移行支援などトータルでサポートするが、とりわけ日本企業にとって不可欠なのが、SSOやグループアドレス帳といったアドオンツールだ。DSKでは無料のツールも含めて約30~40種類を揃え、ドコモ向けに順次展開する。このほか、グーグルから英語で配信される情報を日本語に翻訳して提供するのもDSK独自のサポートサービスだ。

ドコモはGoogle Appsについて、今後3年間で100万IDの獲得を目指している。目標達成の鍵を握るのが、大学や教育機関、非営利団体向けの「Google Apps for Education」だ(図表)。企業向けと同じく昨年10月から販売しており、現在のところ国内ではドコモだけが展開している。

図表 「Google Apps for Business」と「Google Apps for Education」の機能比較
 「Google Apps for Business」と「Google Apps for Education」の機能比較

ドライブの容量を追加できない点を除いて基本的な機能はfor Businessとほぼ同じで、利用料金は無料。ドコモの法人営業は教育機関にも多くの顧客を持つことから積極的に提案していく。企業向けと同様、アドオンツールなどの付加サービスや、大規模導入の場合はSI収入が収益となる。加えて「学生にドコモのネットワークをアピールできる」(岩?氏)といった効果も期待している。

このように、まずは大企業や教育機関での導入事例や販売ノウハウを蓄積した後、ドコモの支店や支社、さらにはドコモ系携帯販売代理店へとGoogle Appsの販路を拡大し、中小企業やSOHOまでカバーする予定だという。

月刊テレコミュニケーション2014年2月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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