宝石専門のテレビ通販チャンネル「ジュエリー☆GSTV(ジー・エス・ティー・ビー)」は、朝8時から深夜26時まで、毎日18時間の生放送を行っている。
コールセンターへの入電状況などを踏まえて、東京・新宿の本社オフィスと有明スタジオの間を活発に飛び交う相談や指示――。生放送を支える現場では、いかにスピーディかつ緊密にコミュニケーションできるかが大変重要だが、今や不可欠となったツールがある。昨年6月に導入したiPhoneだ。
宝石専門チャンネル「ジュエリー☆GSTV」のWebサイト(http://www.gstv.jp/)。GSTVは、スカパー!やCATVなど約1000万世帯で視聴が可能。また、Webサイトでも番組のストリーミング放送を行っている |
製販一体の“一気通貫モデル”への転換で急成長
GSTVの運営会社であるイマックビーシーは、もともとはジュエリーの製造・卸だけを行うメーカーだった。それがテレビ通販の世界にも進出したのは約3年前のこと。宝石専門のテレビ通販会社、ジェムスロンドンに共同出資し、昨年には同社を吸収合併した。
イマックビーシーが製造から販売までを一気通貫で手がけるビジネスモデルに転換した理由について、取締役 経営管理統括の松田憲明氏は「できるだけお求め安い価格でジュエリーをお届けするためです」と説明する。
「ジュエリーの流通過程には、たくさんの中間業者が介在します。ですから通常、皆様のお手元に届くときには、価格が2~3倍にもなっていました。そこで当社は、原石の買付から加工、製造までを自社で行うことで低価格を実現しましたが、一気通貫モデルを完成させるにはもう1つ、“出口”となる販売チャネルが必要です。それでテレビ通販会社を買収したのです」
製販一体のビジネスモデルへの革新によって、2011年度に31億円だった売上は現在では100億円規模に拡大。イマックビーシーは急成長を遂げているが、さらなる成長を支えるツールとして活躍し始めたのがiPhoneである。
イマックビーシー 取締役 経営管理統括 松田憲明氏。左後ろに見えるポスターに写るのは、GSTVのイメージキャラクターである浅野温子さん |
iPhone導入の直接的なきっかけとなったのは、昨年6月のオフィス拡張だった。新宿の本社オフィスのフロア増床に合わせて、iPhone 5を約40台導入した。国内に約200名いる従業員のうち、課長以上に1台ずつ貸与しているほか、課ごとに共有のiPhoneを配布している。
新宿にある本社オフィスには、修理などを行う工房(写真左)や実際に商品を手に取れるショールーム(写真右)もある |
携帯キャリアはKDDI(au)を選択した。イマックビーシーの本社は、新宿の高層ビル街という日本有数のトラフィック過密エリアにあるが、その通信品質や後述する法人向けサービスの充実度などが決め手になったという。
iPhone導入によりPCと同等の仕事環境が“いつでもどこでも”
生放送を提供している同社の場合、緊急性の高いコミュニケーションの割合が非常に多い。その一方で、新宿本社と有明スタジオ間の頻繁な行き来、中国・インド・タイにある現地法人への出張など、移動も多いのも特徴だ。そこに、iPhoneは何をもたらしたのか――。
松田氏がまず強調するのは、iPhoneなら、いつでもどこでもPCと同じように仕事が行えるという点だ。「いわゆるガラケーですと、電話しかできません。しかし、iPhoneがあれば、どこにいてもOutlookのメールや売上データが見られますし、GSTVの生放送もインターネット上のストリーミング配信でチェックできます」。問題は、「24時間いつでも仕事ができるようになってしまったことだけ」と松田氏は笑う。
電話やメールだけでなく、マイクロソフトのユニファイドコミュニケーションサービス「Lync Online」や社内SNS「Yammer」なども同社では活用している。例えば、同僚間のカジュアルな連絡ならLyncのテキストチャット、現場からの提言や悩み相談にはYammerといったように、柔軟に使い分けているそうだ。このように目的に応じた最適な手段でコミュニケーションがどこでも1台で行えるのも、iPhoneを導入したからである。
なお、Lync Onlineは、中国など海外現地法人とのWeb会議にも活躍しているのこと。また、紛失・盗難時の情報漏えい防止など、iPhoneのセキュリティ対策に関しては、KDDIの提供するMDMサービスで利用している。