――今や多くのベンダーがvEPCに取り組んでいます。その中で、どのように特徴を出していくのでしょうか。
ヒル 2011年2月の設立当初から、今のEPC(Evolved Packet Core)には限界があると感じていました。この市場は、少数のベンダーが提供する垂直統合型システムで成り立っており、それではイノベーションは起こりえません。
通信キャリアのCAPEX/OPEXを劇的に改善するには、多くのプレイヤーが集まってエコシステムを形成することが重要です。我々は、プロセッサ、サーバー、ハイパーバイザ、ネットワーク機器など、それぞれの分野を担う企業が連携してNetwork Functions Virtualization(NFV:ネットワーク機能の仮想化)を実現するエコシステムの構築を目指しています。
彼らの製品で構築されるインフラ、プラットフォーム上で動作するvEPCアプリケーションの開発に、我々は特化しています。
――コネクテムのvEPCは、他社とどう違うのでしょうか。
ヒル これまで専用機器を提供してきたベンダーが手がけるvEPCは、EPCを構成するMMEやS-GW、P-GW等のノードを仮想化しているに過ぎません。専用機器をそのままソフトウェア化して、汎用サーバーとハイパーバイザー上に移植するだけです。NFVではなく、Network Node Virtualization(NNV:ノードの仮想化)と呼ぶべきで、効果は限定的でしょう。
我々はノードではなく、機能の仮想化に着目してきました。EPCが持つ、アタッチ/デタッチ、ベアラ管理、ポリシー管理といった各種機能を実現するソフトウェアを開発し、vEPCアプリとして再構成しました。各ノードを1つ1つ開発するのに比べて短期間に開発でき、従来のEPCに比べてCAPEX/OPEXを70~80%も削減できます。これこそ「真のNFV」だと自負しています。
――キャリアへの提案・導入の状況はどうですか。
ヒル 最初にオーストラリアのOptusでトライアルを行い、そのほか欧州と北米でも2社ずつ実施しています。年内にはさらに、アジアを含めた5社とトライアルを行う予定です。日本国内のキャリアについてもマクニカネットワークスと代理店契約を結び、すでにアプローチしています。