成功するユニファイドコミュニケーション入門[最終回]「顧客接点」で高い投資対効果を生むユニファイドコミュニケーション

前回まで、企業はどのような入り口から、ユニファイドコミュニケーションを導入していけばいいかを解説してきた。最終回の第3回は、ユニファイドコミュニケーションの効果が明確に現れる部門について見ていく。

NECはユニファイドコミュニケーション(UC)の投資対効果を高めるためのユニークな取り組みを進めている。

同社第二企業ネットワークソリューション事業部UCシステム部の神谷健一マネージャーは「UCを使う場所を、オフィス内から業務の現場、さらには顧客接点へと広げていく」と語る。

その方針を示したのが図表1だ。従来、UCのメインターゲットは、デスクワークが中心のいわゆる「オフィス内の従業員同士のコミュニケーション」だった。だが、そもそも、コミュニケーションにおける課題を認識しているユーザーが少ないこともあり、投資対効果を明確に示すのは難しい。

図表1 ユニファイドコミュニケーションの適用パターン
図表1 ユニファイドコミュニケーションの適用パターン

では、そうしたオフィスを離れて、業務効率化が企業収益に直結する業務の現場、さらには顧客接点に視点を向ければどうだろうか。現場従業員とそれを後方支援するオフィスとのコミュニケーションを効率化する、あるいは業務効率を上げて顧客訪問回数を増やすといった、より具体的なニーズが捉えやすくなる。また、UC導入の効果も、顧客増や売り上げの向上、従業員の移動コストの削減といった目に見える成果で示すことが容易になる。

重要なのは、UCで人と人を“つなぐ”効果を理解しやすい場面を絞り込むことだ。同等のスキル・知識を持つ者同士――例えば同じオフィスで仕事をする同僚――をつないでも、生まれる価値は小さい。「大きな付加価値を生むのは、知識と情報を持つ人から、それがない人へと知識・情報が流れる場面」と、市場開発推進本部の田中英俊マネージャーは話す。例えば、センター拠点にいる専門家が遠隔コミュニケーションで現場従業員をアシストする、専門家が直接顧客に対して商品説明をするといった場面にUCを適用すれば、ユーザーはその効果を認識しやすい。

月刊テレコミュニケーション2010年5月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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