NAS市場で存在感増す台湾ベンダーモバイル時代のNAS(Network Attached Storage)の選び方

スマートデバイスが普及するなか、ファイルサーバーアプライアンスであるNASの需要が高まっている。近年国内市場に続々と参入し、存在感を増している台湾ベンダーにフォーカスを当て、製品選択のポイントと活用形態を紹介する。

アプリ追加で広がるNASの用途

特に、営業などのビジネスシーンに活用できるアプリケーションが充実しているかどうかは、製品選びの大きなポイントとなる。

「何ができますか、とお客様に聞かれたら何がしたいんですか、とお答えするのが一番早いという程、何でもできてしまう」と話すのは齋藤氏だ。QNAPの「Turbo NAS」は、プラットフォームの「App センター(QPKG、図表2)」からアプリケーションをインストールする。また、SDKサポートによって、ユーザー自身でもアプリケーション開発をできるようにした。Linuxオープンソースコミュニティが開発したアプリケーションも追加できる。

図表2 QNAPのQPKGソフトウェアプラグイン
QNAPのQPKGソフトウェアプラグイン

同様に、Synologyも「パッケージセンター」、Thecusも「フォーラム」というNASの機能や用途を拡張するためのアプリケーションを追加するプラットフォームを用意している。アプリケーションは、自社提供アプリとサードパーティアプリがあり、個々の要件に応じて必要なものだけをインストールする仕組みになっている。

ウィルス対策やVPN環境の設定、情報リソースマネージャなどの信頼性を向上させる機能のほか、写真や動画共有などアプリケーションの種類は多岐にわたり、コンシューマレベルからエンタープライズレベルまで幅広く対応できる。企業向けとして注目したいのは、ファイル共有サービスと監視システムだ。

モバイルデバイスと組み合わせ

まず、ファイルストレージサービスは、モバイルデバイスの業務活用をよりスムーズなものとする。NASに保存されたデータに、ファイル共有サービスを介してモバイルデバイスでアクセスできる。

例えば、QNAPの「Turbo NAS」は、ファイル共有サービス「Qfile」を介すことでモバイルデバイスからのアクセス、同期を可能とする。外出先からオフィス内の最新データにアクセスし、スマートフォンの外部ストレージのようなかたちで使用できる。社外から最新情報をアップロードし同期させればどこにいても最新の情報を共有することもできる。最新の文書やカタログなどにアクセスし、プレゼンテーションなどに活用することができ、単なる閲覧用ではなく営業ツールとしてのモバイルデバイスの価値も高める。

また、社外のクラウドサービス利用と違って月額課金や従量課金は発生しない。長期的なランニングコストで考えれば、コスト削減も期待もできる。データが手元にあるという安心感もある。遠隔のデータセンターに預けるには適していない機密性の高いデータ管理にも向いている。

外出先から監視システム管理

NASをNVR(ネットワークビデオレコーダー)システムとして運用できる監視カメラソリューションも需要の高い機能だ。Synologyの「Surveillance Station」は、ライブビュー、録画再生、ライブビュー分析などの機能を提供し、カメラの設定管理をDiskStationでできるようにする。動作検出や録画予約にも対応するほか、モバイルデバイスを通じてライブフィードやスナップショット撮影ができる。カメラの接続切断や動作検出などの通知を受け取ることもでき、外出時に監視地点に異常が起きた際に、管理者の即時対応を可能にする。

Synology「DiskStation」の管理画面
Synology「DiskStation」の管理画面。アイコン表示やカテゴリ別になっており、直感的な操作が可能だ

これらのアプリケーションの管理は煩雑になりがちだが、ユーザビリティを重視したNASの管理システム(OS)は企業に専任の情報システム担当者がいなくても容易に管理が行えるのだ。

月刊テレコミュニケーション2013年11月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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