社内SNS成功マニュアル[中編]――社内SNSという素晴らしい“道具”の正しい使い方

どんなに優れた道具も、正しく使わなければ、その価値を発揮できない。社内SNSという道具もそうだ。では、社内SNSはどんな目的で使うのが正しいのか。草創期には社内交流を目的に導入されるケースも多かったが、近頃のトレンドは違う。メールや会議などを代替し、社内SNSでワークスタイルそのものを変革する企業が増えている。

「大部屋効果」で生まれる一体感と相互サポート

メールや電話などと比べると、はるかに広い情報伝播力を有する社内SNS。こうした社内SNSの特徴は、セールスフォース・ドットコムの田崎純一郎氏によると、「大部屋効果」とも表現されるという。

現在、メール中心の働き方をしている企業は多い。当たり前だがメールの場合、メールを送った相手にしか情報は伝わらない。ただそれでも、同じ大部屋にいれば、自然と話が耳に入ってきて、隣の部署が今何をやっているのかなどは、ある程度は分かるはずだ。しかし、同じ空間を共有していない従業員同士の場合、メール中心の働き方では、「他の部署が一体何をやっているか、まったく分からない」といった状態に陥りがちである。

ところが、社内SNSを利用すると、オンライン上に仮想的な“大部屋”を用意することができる。例えば、あるプロジェクトに関するコミュニティをメンバー以外の社員がフォローし、どんな議論が交わされているのかを見たり、ときには助言したりといったことをカジュアルに実現することができる。

「今あのプロジェクトチームが騒がしいとか、そんなことが分かることで、会社全体としてのチーム感、一体感が生まれてくる。また、『このお客さん、大学時代の友人だから、ちょっと1本電話しておこうか』などと、不意なサポートを得られたりもする」(セールスフォース・ドットコムの田崎氏)。メールや会議がクローズドな性質のコミュニケーションツールなのに対し、社内SNSはオープン。だからこそ、一体感の醸成に貢献し、相互扶助が促進される。

また、メールや電話の場合、コミュニケーションのアクションを起こすにあたって、「誰が何を知っているかを把握していることが前提条件」(日本マイクロソフトの寺田氏)になるが、社内SNSではこの前提条件も不要だ。

自分が今知りたいこと、困っていることなどを社内SNSに投げかければ、その解答を持っている誰かがサポートしてくれる可能性がある。必要な知識を持っている人が見つかる、いわゆるKnow-Whoシステムとして機能する点も、社内SNSの大きな特徴だ。

例えば、社内SNSの先進ユーザーとして知られるNTTデータには、こんなエピソードがある。社員の1人が「あるお客様が敷地内にソフトバンクとauのショップに加えて、ドコモショップを作りたいと話しています。これを、どうしたら実現できるかご存知の方いますか?」と社内SNSのQ&Aコーナーで質問したところ、最初に付いたのが山下徹社長(当時)の「ドコモの副社長に問い合わせてみます」というコメント。

社内SNSは、空間的・時間的な壁に加えて、さらに組織の壁も超えたナレッジの共有や人のつながりの強化を実現できる道具なのだ。

社内SNS導入の効果
日本マイクロソフトによる社内SNS導入効果。「質の高いナレッジ共有」と、発言の機会を与えられることや他の従業員の行動を知ることによる「モチベーション向上」の2つに大きく整理されている(出典:2013年11月21日~22日開催の「マイクロソフト カンファレンス 2013」での寺田和人氏の講演から)

なお、ナレッジの共有というと、ポータルや社内Wiki、チームサイトなども思い浮かぶが、これらで注意しないといけないのは「コンテンツを持っていない人が作っても訴求力がない」(日本マイクロソフトの寺田氏)という点。一方、社内SNSの場合、コンテンツをあらかじめ用意しなくても、カジュアルなコミュニケーションの中で、互いの暗黙知を共有することができる。

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