医療と介護をつなぐモバイル(1)――iPhoneで訪問滞在時間の50%アップを実現

超高齢社会を迎えた日本で今後重要性が高まる「在宅医療」――。患者の自宅で医療を行う在宅医療においては、生活支援・介護ヘルパーなどとの連携が大切だが、そこで課題となるのが情報共有だ。その解決策として、スマートフォン/タブレットなどのモバイルを活用する動きが進んでいる。

社会の高齢化が急速に進んでいる。総人口に占める65歳以上の割合は2013年時点で24%を超え、2050年には2.5人に1人が65歳以上となる「超高齢社会」が到来する。

高齢化とともに、寝たきりや認知症の患者数も増加の一途をたどっている。医療の本来の目的は病気を治癒することにあるが、高齢者医療に関しては、手足のマヒや歩行困難、といった状態の中で、「いかに人間らしい健やかな生活を維持するか」へと目的が変化しつつある。

そうしたなか、2012年には診療報酬と介護保険の同時改定が行われた。高齢者の増加により年金・医療・介護などの社会保障給付費が増え続けているのを受けて、救急治療・手術を要する高度急性期への医療資源を強化するとともに、治療やリハビリが終了した患者に地域で適切なサービスを提供する仕組み作りを目指すものだ。その実現に向けて、今後は在宅医療連携拠点や地域包括ケアシステムの構築などを強化する。また2017年度には、介護療養病床の廃止も予定されている。

一方、高齢者の間では「介護が必要になっても現在の住宅にそのまま住み続けたい」とのニーズは強く、施設への入居を望む人は15%にも満たないとの調査結果もある。

このように、高齢者をできるだけ早期に退院させ、病院ではなく自宅で療養する方向にあることは間違いない。だが、受け皿となる在宅医療については単身世帯の急増、医師・看護師の不足などから十分な対応を取ることは難しいのが現状だ。

また、医療と生活支援・介護の両面から支えることが必要であり、1人の患者に対し在宅医の他に訪問看護師、ケアマネジャー、介護ヘルパー、ときには訪問薬剤師や訪問歯科医など複数の職種が関わることになる(図表1)。1人の患者に対し専任の医師が担当することはまれであり、複数の医師が交代で診る場合も多い。

図表1 在宅医療の現場で求められる連携
在宅医療の現場で求められる連携

大学病院など大規模な病院はこれらの職種が1カ所に集まっているが、在宅医療ではそれぞれが別個の事業所から集まるため、「多職種・多事業所」間のコミュニケーションが大きな課題となる。特に医療分野と介護分野における専門知識・言語の違いは、双方の間に垣根となって立ちはだかる。

関係者間のコミュニケーションには、メンバーのITスキルや予算などさまざまな制約から紙や電話といった旧来の伝達手段を取っているところが大半だが、情報共有の難しさに加えて、「関係者が治療やケアの目標を共有しづらい」といった問題も起きている。

そうしたなか、スマートフォン/タブレットの広がり、高速通信LTEの登場、安価なサービスを実現するクラウドの普及を背景に、モバイル活用により要介護者宅の訪問スケジュール管理、訪問時の報告・連絡・相談などの情報共有をより円滑かつリアルタイムに行い、「医療と介護の連携」をさらに効率化しようとする動きが見られる。

ここでは3回にわたり、医療・介護連携について桜新町アーバンクリニックと日本化薬メディカルケア、また介護事業者の側面からロジックの事例を紹介していく。今回は桜新町アーバンクリニックのケースだ。

月刊テレコミュニケーション2013年9月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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