GNSS時刻同期イベントが“日本初”開催 光ファイバーや「みちびき」でGNSS脆弱性に対応

IIJが日本初のGNSS時刻同期をテーマとしたイベント「GNSS TimeSync 2025」を開催。5G、金融、電力など社会インフラで必須となる時刻同期技術について、セイコーソリューションズ、古野電気、精工技研、内閣府、NICTが最新動向と課題を発表した。

光格子時計で数ナノ秒精度の時刻配信を実証 GNSS依存リスクに備える

NICT 時空標準研究室 室長 井戸哲也氏

NICT 時空標準研究室 室長の井戸哲也氏は、時刻同期の国際動向と日本の取り組みについて説明した。井戸氏によると、GNSSへの依存リスクが世界的に認識される中、諸外国で積極的な対策が進んでいるという。

アメリカでは2020年の大統領令でGNSS以外の時刻同期方法の確立を指示、イギリスは「ナショナルタイミングセンター」を新設し、4拠点から地上系で配信を開始したと述べた。また、スウェーデンでは2025年から5G基地局にGNSS非依存のバックアップを義務化、インドも政府主導で全産業分野にインド標準時(IST)への同期を義務づけるために法整備を進めていると井戸氏は説明した。

日本では、NICTが2021年8月から光格子時計を活用し、UTC(協定世界時)との差を±4ナノ秒以内で維持し、日本標準時の精度を確認・調整する仕組みを整備。2024年度からはPTPを都心部へ光ファイバーで配信するプロジェクトを開始したほか、ホワイトラビット技術を活用してNICT本部内で約1ナノ秒精度を実証し、大手町まで高精度配信できることも確認済みであると説明した。

井戸氏は、「金融市場ではトレーサビリティ確保のためGNSSのみでは不十分で、UTC-NICTなど国家標準時刻を経由する必要がある」と強調し、NICTは今後、ユーザーの声を聞きながらサービススキームや持続可能な運用体制を検討していく方針だと述べた。

ホワイトラビットによる時刻伝送試験例

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