Windows XPのサポート切れでもニーズ急上昇仮想デスクトップがワークスタイル変革のカギを握る理由

スマートデバイスから社内PCを使いたいというニーズの盛り上がりに加え、Windows XPのサポート切れもトリガーとなり、企業の関心が急速に高まっている仮想デスクトップ。本稿では、仮想デスクトップへの注目が高まっている背景とその導入メリットを解説する。

仮想デスクトップの主要製品

次に、仮想デスクトップ製品について見ていこう。VDI技術をべースとしたものの中でも主流といえる存在が、ヴイエムウェアの「VMware Horizon View」とシトリックスの「Citrix XenDesktop」である。

シトリックスは、サーバー集中型のシンクライアント技術を発展させて仮想デスクトップ製品を投入している。「Citrix XenDesktopの特徴は、効率よく画面転送を行うアーキテクチャをもっていること」と、ネットマークス・ソリューションマーケティング部マーケティング室室長の高木経夫氏は指摘する。

対して、VMware Horizon Viewは、ワイヤレス環境でも画像データや音声データを優先制御するアーキテクチャを持ち、「ビデオ会議やチャットなどのコミュニケーションツールが活用しやすいことが特徴」(高木氏)だ。

これを活かしてネットマークスは、VDIとビジュアルコュニケーションを組み合わせて場所や時間に囚われない働き方を「仮想ワークスペース」と銘打って企業に提案している(図表)。

図表 どこでもオフィスを実現する仮想ワークスペース
どこでもオフィスを実現する仮想ワークスペース

同社では2012年11月から自社にVDIを導入するとともに、iPadを約100名の社員に配布した。仮想デスクトップと併せて、シスコシステムズのWeb会議「Cisco WebEx」、プレゼンスやチャット機能等を持つ「Cisco Jabber for iPad」といったコミュニケーションツールを採用し、ワークスタイル革新に挑戦している最中だ。

通信キャリアも仮想デスクトップを積極展開

通信キャリアを中心に、仮想デスクトップ環境をクラウドサービスとして提供するケースも増えている。こうしたサービスは、DaaS(Desktop as a Service)とも呼ばれる。「ホワイトクラウドデスクトップサービス」を展開しているソフトバンクテレコムもその1社だ。

「クラウドサービスのメリットは利用者数の増加に応じて段階的に投資できること」と同社の皆川氏は話す。また、分散してデータセンターを所有していることを強みとして、データのバックアップサービス機能も併せて提案している。

同社は2013年7月に、これまでグループ企業が独自に構築してきたクラウド基盤を「グローバルクラウドファブリック」と名付けて統合すると同時に、デスクトップサービスも刷新すると発表した。

従来は、DaaSの提供にマイクロソフトのRDP(Remote Desktop Protocol)を用いてきたが、これを機にVMware Horizon Viewを採用した。そのメリットは、セキュリティパッチの配布が効率的に行えること。システム部門の運用負荷の低減に効く。また、ネットワーク帯域を効率的に使用するので、サービスレベルの向上も図られるという。

月刊テレコミュニケーション2013年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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