――5月の決算発表時に、法人向け営業体制を一新すると発表し波紋を呼びました。
村尾 コンシューマ向けのフレッツ光販売だけに立脚していたのでは、先がありません。今回、法人営業の戦略を大きく変え、それに合わせて経営資源も大胆にシフトします。
狙いは、フレッツ光以外の収益の柱をもう1つ立てること。そして、法人営業の利益率を改善することです。具体的には利益率5%以上を目指します。
――大手企業向けの法人営業組織から1000人規模の人員を中小市場へシフトする、今年10月に法人営業を担う1万人規模の新会社を設立するなど、大きなインパクトを与える計画です。唐突な印象もありましたが。
村尾 もちろん、急に決めたことではありません。ここ5年ほど、西日本マーケットに合わせた経営・組織体制へと移行を徐々に進めてきました。今回の新会社設立は、その最後の仕上げになるものです。
NTT西日本ではこれまで、元来は本体が担ってきた事業をグループ会社へと徐々に移行してきました。ネットワークの運用や保守等はNTTネオメイトが、アクセス網や端末等の領域はNTTホームテクノが、そしてコンシューマ営業はNTTマーケティングアクトが担当しています。
早くからグループ経営へと舵を切ってきたわけですが、法人営業に関してだけはこれまで専門会社がなく、本体組織であるNTT西日本と地域会社で行ってきました。これを、前述の3社と同様の体制に移行します。その意味で“最後の仕上げ”なのです。
地域会社には法人営業のほか、設備やコンシューマ営業に関する業務も一部残っていました。今回、地域会社は廃止し、その業務を先に述べた3社および新会社にすべて移行、統合します。経理財務等の間接業務もNTTビジネスアソシエ西日本に集約しつつあり、現地でなければできない一部の業務を除いては、集中処理することになります。
――NTT西日本が戦略的な機能となり、グループ各社がそれぞれ現業を受け持つということですね。
村尾 そうです。NTT西日本は戦略機能を充実・強化し、現業は専門性に応じてグループ会社で実施するという形態になります。グループ各社の機能、目標と責任が明確になります。
グループ会社へ機能をシフトしていく過程で、新卒・中途採用もそれぞれの個社に認めてきました。NTT西日本で一括採用するのではなく、例えばNTTネオメイトではネットワークに強い人材を採るといったように、コツコツと体制を仕上げてきたのです。今年4月の採用についても、NTT西日本は200名で、グループ会社が約600名でした。
――新会社設立の準備は順調ですか。
村尾 これまで本社には大手企業を担当する法人営業本部と、中小企業を主ターゲットとするオフィス営業部が別組織としてありました。7月1日に法人営業本部とオフィス営業部を「ビジネス営業本部」に再編し、新たなビジネス営業体制への移行に取り組んでいます。
新会社のプレ体制はすでにできており、これに、地域会社の人員を加えて10月1日に新体制をスタートさせます。