パーク保留についに対応
北米のみとはいえ、緊急呼に対応したことは大変象徴的なことだ。マイクロソフトは最終的にはOCSで既存PBXをリプレースしていきたい考えだが、そのうえで緊急呼のサポートは不可欠だからだ。
桑原氏はOCSの電話機能拡充の歴史について、OCS 2007で約7割、R2で17%をサポートしたと振り返る。あと残るは12%。桑原氏は最後の10%をW14でサポートしたと話すが、緊急呼以外にどのような電話関連機能を実装したのだろうか。
まず注目は支店用アプライアンスサーバーの用意だ。他の自営型IPセントレックスと同様、OCSではWAN回線がダウンすると、支店の電話も不通になる。これを回避するため、他のIPテレフォニーベンダーは支店向けのサバイバル用装置を提供しているが、OCSの場合はOCSのサーバーそのものを置くほかなく、コスト的に非現実的だった。しかし今回、支店用アプライアンスが用意されることで、低コストに緊急回避用のシステムを構築可能になった。なお、アプライアンスはマイクロソフトではなくサードパーティから提供されるという。
他社のSIPサーバーでは実装が当たり前になっているコールアドミッションコントロールにも対応する。これは、設定したコール数を超えるコールが来た場合、自動的に切断するなどし、サーバーの安定性や通話中のコールの品質を確保するための機能。「これまでコールアドミッションコントロール機能がないため、落とした案件がいくつもあった」という。
さらに国内のユーザー企業にとって非常に大きいのが、ついにパーク保留に対応したことだ。このほか電話関連では、低価格IP電話機の提供、VoIPの音声コーデックの標準であるG.711のサポートなどが挙げられる。
「パーク保留も入って、さらにOfficeとの統合機能が使えるので、かなり競争力があるのではないか」。桑原氏はこう自信を覗かせる。
OCSの本質は電話機能にあるわけでは無論ない。だが、信頼性やパーク保留への非対応など、電話としての不十分さが、普及のうえでネックとなってきたのも確かだ。しかしW14で、その足枷がいよいよ外れる。W14は2010年度中に国内でリリースされる予定だ。