マイクロソフトの次期ユニファイドコミュニケーションはどこがスゴイ?――パーク保留、専門家検索、ロケーションなど新機能満載

マイクロソフトのユニファイドコミュニケーション(UC)基盤「Office Communications Server」(OCS)の次期バージョンが今年3月に米国で初公開された。スキルサーチなどコミュニケーションをさらに円滑化する新機能の搭載や電話機能の大幅強化が特徴だ。同社日本法人の桑原智宏シニアプロダクトマネージャの解説をもとに、次期OCSの特徴を見ていく。

パーク保留についに対応

北米のみとはいえ、緊急呼に対応したことは大変象徴的なことだ。マイクロソフトは最終的にはOCSで既存PBXをリプレースしていきたい考えだが、そのうえで緊急呼のサポートは不可欠だからだ。

桑原氏はOCSの電話機能拡充の歴史について、OCS 2007で約7割、R2で17%をサポートしたと振り返る。あと残るは12%。桑原氏は最後の10%をW14でサポートしたと話すが、緊急呼以外にどのような電話関連機能を実装したのだろうか。

まず注目は支店用アプライアンスサーバーの用意だ。他の自営型IPセントレックスと同様、OCSではWAN回線がダウンすると、支店の電話も不通になる。これを回避するため、他のIPテレフォニーベンダーは支店向けのサバイバル用装置を提供しているが、OCSの場合はOCSのサーバーそのものを置くほかなく、コスト的に非現実的だった。しかし今回、支店用アプライアンスが用意されることで、低コストに緊急回避用のシステムを構築可能になった。なお、アプライアンスはマイクロソフトではなくサードパーティから提供されるという。

他社のSIPサーバーでは実装が当たり前になっているコールアドミッションコントロールにも対応する。これは、設定したコール数を超えるコールが来た場合、自動的に切断するなどし、サーバーの安定性や通話中のコールの品質を確保するための機能。「これまでコールアドミッションコントロール機能がないため、落とした案件がいくつもあった」という。

さらに国内のユーザー企業にとって非常に大きいのが、ついにパーク保留に対応したことだ。このほか電話関連では、低価格IP電話機の提供、VoIPの音声コーデックの標準であるG.711のサポートなどが挙げられる。

「パーク保留も入って、さらにOfficeとの統合機能が使えるので、かなり競争力があるのではないか」。桑原氏はこう自信を覗かせる。

OCSの本質は電話機能にあるわけでは無論ない。だが、信頼性やパーク保留への非対応など、電話としての不十分さが、普及のうえでネックとなってきたのも確かだ。しかしW14で、その足枷がいよいよ外れる。W14は2010年度中に国内でリリースされる予定だ。

月刊テレコミュニケーション2010年6月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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