米SpaceXが展開する低軌道(LEO)衛星通信サービス「Starlink」。その法人向けプランが「Starlink Business」だ。
まずは、あらためてStarlinkの概要を確認しておこう。Starlinkは、地上から約550kmの軌道を周回する6750基以上の小型衛星を活用した、下り約40~約220Mbps、上り約8~約25Mbps、遅延25~98ミリ秒の高速・低遅延なインターネット通信サービスだ。ユーザーは、SpaceXが提供する専用アンテナを屋外に設置してWi-Fiルーターなどと接続することで、山間部や洋上、船舶など携帯電話の圏外でも通信環境を確保できる。
プランは「国内陸地」か「海外」
Starlink Businessは、日本国内ではKDDI、ソフトバンク、NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)といった通信事業者が提供する。
企業や自治体がStarlinkを利用したいと考えるシチュエーションは様々だろう。利用場所は陸上なのか、海上なのか。あるいは、携帯電話の電波が届かない僻地なのか、それとも光回線が敷設されていない建設現場か。用途も、恒久的に用いるのか、一時的・応急的に通信手段を確保する目的で使うのかといった違いがある。こうした条件に応じて、適切な料金プランを選択することがStarlink Business導入の第一歩だ。
プランは、国内の陸地のみで使用するか、海上、あるいは海外で使用するかによって大きく分けられる。 KDDIは、「Local(国内陸上)プラン」と、海上・海外を含む場所で利用する「Global(海・海外)プラン」を提供している。加えて、バックアップ対策を想定し、海上・海外含む同一拠点内で1つの回線を2台のStarlinkキットに紐づけて利用できる「Globalシェアリングプラン」も用意する(図表1)。
図表1 KDDIのStarlink Business各プラン
ソフトバンクは「スタンダードプラン(陸上向け)」、「ポータブルプラン(陸上向け)」、「マリンプラン(海上向け)」の3プランを提供してきたが(図表2)、9月1日にはこれらを「陸上プラン」「海上プラン」の2つに改編した。
図表2 ソフトバンクのStarlink Business 提供プラン(2025年8月31日まで)
各プランの料金は月間データ容量によって変わる。例えば、KDDIのLocal(国内陸上)プランの場合、最小の50GBで月額9000円(免税、以下同じ)となる。こうした小容量プランは基本的にBCP用途を想定したもので、ある程度の期間にわたり映像データを送受信したり、多端末で利用する場合などは大容量を必要とする。KDDIは国内陸上プランでは1TBを月額3万9000円で提供しており、最大で6TB(20万7000円)までの設定がある。契約容量を超過しても、50GBあたり4000円で容量を追加できる。ソフトバンクも9月から契約容量を最大10TBに拡大し、超過分は従量課金で利用できるオプションの提供を開始した。用途に応じ、適切なプランを選択したい。
なお、NTTドコモビジネスは顧客の用途等に応じソリューションとセットで提案することを基本姿勢としているため、一律の料金体系は公表していないが、他社と同等水準の価格帯で提供しているという。