Coltテクノロジーサービスは2025年7月23日、超低遅延クラウド間接続サービス「Colt ULL DCA」の提供を9月に開始すると発表した。
同サービスは、暗号資産やデジタルアセットの取引を行う金融業界の企業を対象とし、同社がこれまで展開してきた超低遅延ネットワークサービス(Ultra Low Latency:ULL)と専用クラウドアクセス(Dedicated Cloud Access:DCA)を統合したもの。
近年、暗号資産取引の主戦場がオンプレミス環境からクラウドへと移行するなか、取引に利用するアプリケーションのパフォーマンスを最大化するには、リージョン間のネットワーク性能がカギとなる。しかし、従来の接続手段にはそれぞれ課題があった。パブリックインターネットではトラフィックの混雑や不安定性がネックとなり、クラウド事業者のバックボーンネットワークは安全性はあるものの、最短ルートでのデータ伝送が保証されない。また、オンプレミスでのカスタム接続構築は多大なコストと労力を要する。
Colt ULL DCAは、こうした課題に対し、顧客が新たに物理的インフラを構築することなく、複数のクラウドリージョン間で高速かつ安定した専用接続を提供するという。同社のグローバルな超低遅延バックボーンを基盤とし、275を超えるクラウドPoPを経由して、世界80カ所以上の主要取引所やプラットフォームと接続可能だ。また、最短かつ最も効率的な伝送経路を保証することで、ミリ秒単位のパフォーマンスが求められる企業に対し、取引実行の迅速化やスリッページ(注文時の価格と実際に約定する価格の差)の大幅な削減を実現するとしている。
実際、同社がアジア太平洋地域の3つの主要AWSリージョン(日本・香港・シンガポール)間で行ったPoCでは、AWSバックボーンと比較して平均15%の遅延削減を達成したという。
同社のマーケットデータサービス「MarketPrizm」や金融市場向けの専用ネットワーク「PrizmNet」との連携も強みとしており、単一のプラットフォームからマーケットデータや流動性へのアクセスが可能となるという。