「日本で初めてのオークションということで、世の中の関心も集まっている。どの程度の希望があるのか、心配はあるが、うまく制度設計したい」
総務省は2025年7月16日、情報通信審議会 情報通信技術分科会 電波有効利用委員会 価額競争の実施方法に関する検討作業班の第1回会合を開催。同作業班の主任を務める電気通信大学 先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター 教授の藤井威生氏は冒頭こう述べた。
作業班が検討するのは、26GHz帯の電波オークションの制度設計だ。海外では数多くの電波オークションの実施例があるものの、日本では初。しかもオークション対象は、世界的に普及が遅れ、いまだその経済的価値がはっきりしないミリ波だけに、藤井主任の言葉通り「うまい制度設計」が不可欠になる。
総務省 電波部長の翁長久氏も「今後のオークションのやり方にも関わってくる重要な制度設計になる」と挨拶した。
地域枠は新規・地域事業者の専用枠
初会合のトピックは、事務局を務める総務省が全国枠1つ、地域枠1つという基本方針を提示したことだ。
具体的な割当候補は、①25.25~25.4GHz帯(150MHz幅)、②25.8~26.2GHz帯(400MHz幅)、③26.8~27.0GHz帯(200MHz幅)で、既存の全国事業者が400MHz幅を希望していることから、②が全国枠になると想定される。また、地域ごとの割当となる地域枠に関しては、新規・地域事業者の専用枠とする案が出された。
さらに、できるだけシンプルで分かりやすい方式を採用しながら、可能な限り適正な経済的価値が反映されることを目指す考えなども示された。
26GHz帯オークションで割り当てられる周波数の候補
構成員から、こうした基本方針への反対意見は出なかったが、全国枠を400MHz幅×1枠ではなく、200MHz幅×2枠とした場合のメリット・デメリットについては議論が交わされた。複数枠をセットで入札するパッケージ入札を認めれば、200MHz幅×2枠でも、400MHz幅の取得は可能である。
「2つに分けた方がいいのか、今の時点で分からないのであれば、200×2にした方がいいというのが経済学的な考え方だ。しかし、初めてのオークションなのでシンプルなルールにしたいのであれば、パッケージ入札がない方がシンプルである」。オークション理論が専門の横浜国立大学 大学院 国際社会科学研究院(経済学部) 教授の佐野隆司氏はこのように説明した。