AWSジャパン 恒松常務「vRANからAI開発までキャリアと伴走」

通信インフラのクラウド化における最後の標的がRANだ。AWSは先ごろ5G RANをクラウド化する新ソリューションを発表。AIアプリを含めた新サービス開発の分野でも通信事業者を伴走支援する戦略だ。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)常務執行役員 情報通信・メディア・エンターテイメントゲーム・スポーツ・戦略事業統括本部 統括本部長の恒松幹彦氏

アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)常務執行役員 情報通信・メディア・エンターテイメントゲーム・スポーツ・戦略事業統括本部 統括本部長の恒松幹彦氏

――AWSの通信業界向けビジネスの進捗と現在の注力点を教えてください。

恒松 通信事業者が提供するサービスの範囲は幅広く、今では金融やメディアなど様々な領域でサービスを展開しています。AWSも多くの産業界に深く入り込んでいるので、その知見を活かして通信事業者が素早く付加価値の高いサービスを開発・提供できるようサポートしていきます。

一方で、我々は通信インフラにクラウドを適用する取り組みも続けてきました。クラウド化には、コスト最適化やオペレーションの柔軟性を高めるメリットのほか、新サービスを市場に投入しやすくするという価値もあります。

ただし、通信事業者がこれまでクラウド化してきたのは、サービス開発・提供やデータ解析の基盤、OSS/BSSなどです。これらをAIの活用によってさらに進化させていくのと並行して、5GコアやRAN(無線アクセス網)にもクラウド技術を適用していこうとしています。これが進展すれば、通信インフラから得られるデータも使ってサービスの価値を高められる、新たな循環が生まれると考えています。

通信向けOutpostsが始動

――4Gでモバイルコアに仮想化が導入され、5Gコアでクラウド化が始まりました。対して、RANの仮想化/クラウド化は始まったばかりです。

恒松 コアやRANは長らく専用サーバーが使われてきた領域で、それをなんとかソフトウェア化、仮想化しようとしてきた結果、通信事業者は新たな悩みを抱えることになりました。運用の複雑化です。

半導体チップの世代が異なる様々なハードウェアのライフサイクル管理をしながら、通信ノードとして統一されたオペレーションをしなければならない状況に陥っています。今後はGPUも通信インフラで活用されるようになりますが、その運用をなんとか簡素化しなければなりません。AWSのクラウドとテクノロジーを活用すれば、通信事業者は最新のテクノロジーを早期に導入しやすくなります。

――RANやエッジは、どうしてもオンプレミス環境に置く必要があります。また、仮想化RAN(vRAN)はこれまで、汎用サーバーで充分な性能を出せないことが課題でした。

恒松 その課題を解決するための新ソリューションをMWC 2025で発表しました。通信事業者向けにデザインされた新しいAWS Outpostsです。

――AWS Outpostsはオンプレミス環境にAWSクラウドと同じハードウェアを設置して、AWSサービスを使えるようにするものですね。“通信事業者向け”は、従来のOutpostsと何が違うのですか。

恒松 高スループットを実現することにフォーカスした点が、従来との違いです。適用先が異なる2種類のソリューションを用意しました。

1つは、高密度かつ高スループットでネットワーク負荷の高いワークロード向けの「AWS Outpostsラック」です。5Gコアの中でも高い処理能力が必要なUPFや、RAN CU(CentralUnit)のスループット要求に応えられるように設計されています。4月に一般提供を開始しました。

もう1つは、分散配置されるクラウドRANのワークロード用に設計したAWS Outpostsサーバーです。こちらは2025年後半にリリース予定です。

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