ソフトバンクモバイルが「複数基地局間協調伝送技術」の実証実験を公開

ソフトバンクモバイル(SBM)は2013年2月21日、LTE-Advancedの主要技術の1つである「複数基地局間協調伝送技術」に関する説明会を開催した。

現行のLTEは、隣接するセル間で電波の干渉が増大し、通話品質(スループット)が大幅に低下するとされる。複数基地局間協調伝送技術はそれを回避するための技術で、複数基地局間協調送信制御技術(ECO-LTE)および複数基地局間協調送信技術(CoMP)という2つの方式がある。

いずれも基地局間の接続にIPネットワークを使った「X2インターフェース」を用いることで、分散して設置された基地局や、ダークファイバーを利用できない基地局に対応するので、汎用的な方式として商用サービスへの利用が期待できるという。さらに「垂直面内アンテナ指向制御技術」を用いることで干渉を低減させ、スループットの向上を図る。SBMでは昨年5月より、東京都江東区のお台場地区でこれらの技術のフィールド実証実験を行っている。

ECO-LTEは隣接する複数の基地局が協調制御して、片方の基地局から携帯電話への信号送信を停止することにより、電波干渉を受けやすいセル境界での無線伝送特性を改善する技術。実証実験では、セル境界での下り伝送速度を約2倍向上できることが確認されたという。なお、ECO-LTEは、LTE基地局装置に制御ソフトウェアを追加するだけで現行のLTEシステムに対応するため、端末を変更する必要がないとしている。

CoMPは隣接する複数の基地局が協調し、両方の基地局から同時に携帯電話へ同一信号を送信する技術。実証実験では、セル境界での下り伝送速度を約2~3倍に向上できることを確認したという。

説明会では、実際にデモも行われた。室内実験のデモでは、3Mbpsの動画を再生している携帯端末が2つの基地局間を移動する様子を再現。現行LTEではセル境界でスループットが低下して映像が乱れ、ところどころ視聴できなかったのに対し、ECO-LTEおよびCoMPではスループットが向上し、映像の乱れもほとんどなかった。

セル境界で現行LTE(左)はスループットが低下して画像も乱れているのに対し、ECO-LTE(右)が適用された端末はスループットが向上し画像も滑らかな状態

またフィールド実験は、お台場地区を走る車に実験用の設備を搭載し、その映像を中継する形で行われた。現行のLTEはセル境界でスループットが大幅に低下したが、ECO-LTEやCoMPを利用するとスループットは20Mbps前後まで急激に向上していた。

紫は現行LTEで、ピンクはECO-LTE適用時。ECO-LTEが適用されると実験基地局からの電波が停止し、スループットが急激に向上した

さらに、垂直面内アンテナ指向制御技術により有明実験局からの電波を抑制し、青海実験局や台場実験局への干渉を抑えることで、スループットが向上することも実証された。

ソフトバンクモバイル・ワイヤレスシステム研究センターでセンター長を務める藤井輝也氏によると、SBMではECO-LTEやCoMP、垂直面内アンテナ指向制御技術を組み合わせて運用していきたいとしている。

ソフトバンクモバイル・ワイヤレスシステム研究センター・センター長の藤井輝也氏

関連リンク

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

FEATURE特集

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。