トラフィック爆発時代のDCIの進化 大容量化とコスト・消費電力削減の処方箋は?

データセンターの需要が急拡大するなか、DCI(データセンター間接続)には高速・大容量化とコスト効率の向上をいかに両立させるかが求められている。各ベンダーはどのように取り組んでいるのか。

変貌するデータセンター間接続(DCI)の役割

クラウド化とAIの進化が加速する中、データセンターは現代社会のデジタル基盤として不可欠な存在となっていることは言うまでもない。主に通信事業者向けに光伝送システムを提供するシエナは、この状況を踏まえ、ネットワークに求められる拡張性、低コスト・省エネ化などの条件を図表1のようにまとめている。

図表1 クラウド化の拡大とネットワークへの要求

図表1 クラウド化の拡大とネットワークへの要求

特に、データセンター間相互接続(DCI:Data Center Interconnection)の役割は大きく変貌を遂げている。従来、バックアップや災害対策(DR:ディザスタリカバリ)のための「つなぎ役」に過ぎなかったDCIだが、現在では、クラウドサービスやAIといった先進的な技術を支える中核的な役割を担っている。

そもそもクラウドコンピューティングでは、地理的に分散したデータセンターをネットワークで統合し、あたかも単一の巨大なコンピューターのように機能させている。この環境において、高性能かつ信頼性の高いDCIは、サービスの安定稼働と拡張性を確保するために不可欠な前提である。

近年、動画配信やゲーム、ECに加え、生成AIの爆発的な普及により、データセンター間のトラフィックはかつてないほど増加している。この急激な変化に対応するため、企業は自社でDCIを構築するケースが増えているが、同時にDCIに対する要求も高度化している。

総務省の試算では、2024年の国内DCIの通信量は199EB(エクサバイト)。2033年には約5倍に増加すると見ている(図表2)。こうした市場環境を背景に、広帯域幅、低遅延、そして柔軟なスケーラビリティを備えたDCIソリューションが求められている。

図表2 総務省による国内データセンター間接続の通信量見通し(2024年~2033年)

図表2 総務省による国内データセンター間接続の通信量見通し(2024年~2033年)

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