Starlinkを用いて不感地帯でのドローン制御が可能に
仏向ポンプ場付近は、4G/LTEなどのモバイル網がつながりにくい場所であるため、ドローンの遠隔操作には衛星ブロードバンドインターネット「Starlink Business」を利用した。
また、PicoCELA社のWi-Fiアクセスポイント(AP)を2台設置。同APに搭載されたマルチホップ技術を活用して広範囲にWi-Fiエリア化することで、モバイル網が入りにくい仏向ポンプ場でも、Starlinkを使ったインターネット経由でドローン制御が可能になったという。
ドローンが自律飛行する様子
説明会では、事前に設定したルートをSkydio 2+が飛行するデモが行われた。また、Skydio 2+が撮影した画像をモニターへリアルタイム伝送し、高品質な映像を閲覧できることを確認した。国内の遠隔地はもちろん、「アメリカで飛行するドローンを日本から遠隔操縦したり、アメリカで撮影した映像を日本へ伝送する実証にも成功している」(石川氏)という。
ドローンが撮影した画像
また、酉島製作所の回転機械モニタリングシステム「TR-COM」やコネクシオの振動センサーをポンプに設置し、ポンプ軸受け部の劣化状態を遠隔から把握・監視する実証実験も今後実施する。2つのソリューションを導入した狙いは、「より多くのデータを収集し、精度の高い故障の予兆検知を目指す」ことにあるという。
酉島製作所の回転機械モニタリングシステム「TR-COM」やコネクシオの振動センサーを設置
横浜市水道局はこれらの取り組みを通じ、「現場に出向く回数の削減や技術の形式知化を行い、巡視・点検の省力化を目指す」と羽布津氏は意気込んだ。Starlink・ドローンを用いた実証実験は11月まで、センサーによる遠隔巡視は来年2月頃まで実施する。その後成果等を取りまとめ、ドローンやセンサーの導入事例を徐々に増やしていき、2028年度以降には全23カ所のポンプ場に導入していきたい考えだ。