<特集>IoT×AIで伸ばす!「IoT×生成AI」5つの活用法 生成AIがIoTを次のステージに

これまで10年以上にわたり、データドリブンな意思決定を実現するために実装が進んできたIoTとAI。生成AIはそれを大きく進化させ、「IoT×AI」の適用範囲を広げるエンジンとなる。

「IoT×生成AI」開発環境も整備

生成AIの使い方が具体化してくるとともに、それを様々な産業で活かすための開発環境も整備されてきている。大掛かりなデータ収集の仕組みやデバイス、基盤モデルの開発といった時間・コストのかかるプロセスを経ずに、短い準備期間で「IoT×AI」に取り組めるプラットフォームだ。

より良いAI体験を実現するため、エッジAIとクラウドが協調する「ハイブリッドAI」ビジョンを掲げるクアルコムは、クラウド上に準備したテスト用デバイスにAIモデルをダウンロードして事前検証できる「Qualcomm AI Hub」を公開している。用意されたモデルは100以上。生成AIモデルも順次追加している。Snapdragon向けに「モデルを最適化する手間を省いて実装できる」(泉氏)うえ、パートナー企業やデバイスメーカーの独自モデルもAI Hub上で検証可能だ。

100超のモデルを用意する「Qualcomm AI Hub」(https://aihub.qualcomm.com/)。対応するSoCや用途からモデルを選択して検証できる

100超のモデルを用意する「Qualcomm AI Hub」(https://aihub.qualcomm.com/)。対応するSoCや用途からモデルを選択して検証できる

ソラコムは、この7月から、生成AIを活用したIoTアプリケーションをローコードで開発できる「SORACOM Flux」の提供を開始している。図表2のように、センサーデータやカメラ画像にルールを適用し、生成AIを使って分析・判断、デバイスを制御するといったアプリを、プログラミング知識のない人でも構築できる。「生成AIは、IoTとAIを結びつけるもの。それを使ってIoTアプリを簡単に作れる環境ができれば、IoTシステムがどんどんと生まれるはず」と松井氏は狙いを話す。

図表2 「SORACOM Flux」によるアプリケーション構成イメージ

図表2 「SORACOM Flux」によるアプリケーション構成イメージ

「特化型AI」でニーズを開拓

もちろん、課題やハードルもある。泉氏が指摘するのが「AIのローカライゼーション」だ。汎用的な生成AIであらゆる分野・言語をカバーするのは難しく、そのハードルを乗り越えるには、「特定分野・言語に強いAI/MLモデルが必要になる」。

そのため、クアルコムは各国でパートナーシップを拡充。日本でもこの8月に、産業向けIoT事業推進に向けた新たなパートナーシップを締結した。

Snapdragon上に、パートナーのソフトウェアを実装して提供するISVパートナーとして、ロボットへのAI/ML搭載に長けるPreferred Roboticsと協業。同社が開発するSLAM(自己位置推定とマッピング)技術をクアルコムのロボティクスプラットフォームに実装する。

また、リテール向けのエッジAIを手掛けるAWLともパートナーシップを締結した。AWLのカメラ映像分析エンジン「AWL Engine」をSnapdragonに実装する。「カメラデータの使い方や人流分析の仕方も、リテールと他の業界では異なる。ノウハウやトレーニングデータを持つパートナーが開発するモデルが重要になる」と同氏。今後、他の業界でもコラボレーションが広がりそうだ。

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

FEATURE特集

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。