ウィビコムは2024年11月6日、NTTテクノクロスと連携し、NTTコムウェアが実施したロボットの制御および映像伝送の検証試験に、ローカル5G基地局およびコアネットワークを提供したと発表した。
簡易構成図
同試験では、無線でロボットを制御する際の遅延や通信の信頼性といった課題を、ローカル5Gで解決できるかを検証した。検証結果は下記の通り。
(1) ローカル5Gとロボットの接続時の通信の安定性について
L2TPルーターを使用して既存Wi-Fi環境をそのままローカル5Gの環境に置き換え、ローカル5Gでロボットを制御。既存Wi-Fi環境ではping値にゆらぎが見られた一方、ローカル5G環境では大きなゆらぎは見られなかった。なお、伝送速度については両環境ともに約320Mbit/sと同等の性能を示した。これにより、映像伝送を行いながら遅延のない安定した動作を求められる用途において、ローカル5Gの優位性を確認できたとしている。
(2) 4K映像伝送について
準同期TDD1通信方式を採用し、ビットレート40Mbps、H264形式(動画圧縮規格の1つ)、ストリーミングバッファ100msの仕様で4K映像伝送試験を実施。その結果、平均遅延は約0.48秒となった。この遅延は、主に4K解像度による映像のエンコードおよびデコード処理に起因するものだという。画質については、フレームドロップやブロックノイズなどの品質劣化は見られず、安定した映像伝送を実現できたとのこと。
(3) 電波の回り込みについて
電波遮蔽物の有無、基地局との距離、ロボットの向きなど、さまざまな環境要因が無線回線品質に与える影響を検証。全7カ所の測定地点において、SINR(Signal to Noise Ratio:信号対雑音比)を用いた回線品質の計測を実施した。その結果、回線品質はどの測定地点でも常に高い数字を記録した。これにより、ローカル5G通信において、遮蔽物や基地局との距離、ロボットの向きは回線品質に影響を与えないことを確認できたという。