NTTの2012年3月期決算は2期連続の増収増益――社長には鵜浦副社長が昇格

NTTは2012年5月11日、2012年3月期決算を発表した。売上高は前年同期比2.0%増の10兆5074億円、営業利益は同0.7%増の1兆2230億円。営業利益は業績予想に届かなかったが、2期連続の増収増益となった。

NTTドコモのスマートフォン販売が、前年の3.5倍に相当する882万台と好調でデータ通信収入が伸びたほか、2010年に子会社化した南アフリカのIT企業ディメンション・データの販売増が寄与した。

一方、NTT東日本/西日本は音声収入の減少が続いていることに加えて、FTTHサービス「フレッツ光」の契約が鈍化し、純増数は約150万件にとどまったことで減収減益となった。

フレッツ光の不調の背景には、KDDIなどとの競争が激化していることに加えて、賃貸マンションを中心にモバイルブロードバンドアクセスの普及が進んでいることがある。

「にねん割」(NTT東)、「光もっと割引」(NTT西)といった割引サービスを提供しているが、さらに今秋からマンション向けの割安プランを導入してテコ入れを図る。三浦惺社長は「ADSLからの切り替えを含めて、光の需要はまだある」との考えを示した。

ところで、NTTは08年5月、2012年度までの中期経営戦略「サービ創造グループを目指して」を策定した。IP系とソリューション等を売上高の75%にする事業構造改革をはじめ、光サービス収支、海外売上高は達成できる見込みだという。

今後は、コンシューマー向けのアプリケーション・コンテンツ、企業ユーザー向けのビッグデータやM2M、データセンター・クラウドビジネスの各分野に重点を置く。これらの分野の売上規模を2012年3月期の約6800億円から、2013年3月期は約8600億円に拡大する方針だ。

決算発表後には、鵜浦博夫副社長が社長に昇格する人事を内定したと正式に発表された。三浦社長は、代表権のない会長に就任する。

鵜浦氏は、「かつて経験したことのないプレッシャーとともに、強い使命感も感じている。何年か後に後輩たちから、『あの時こういう航路変更をしてくれてありがとう』と言ってもらえるようなグループの舵取りをしたい」と抱負を語った。

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