日本初上陸の2つのソリューション
もう1つのトピックは、新ソリューションの国内提供である。BlueCatは2023年に、IndeniとMen&Miceの2社を買収しており、海外で多くの企業が利用するこの2社のソリューションについて、2023年内を目処に日本国内で提供開始する計画だ。最高戦略責任者(CSO)のアンドリュー・ワートキン氏によれば、BlueCatの設立から「22年めにして初めての買収」という。
買収した2社のソリューション
Indeniはイスラエルの企業で、いわゆる「ネットワークアシュアランス」機能を提供している。ネットワーク機器や接続しているデバイスの健全性をモニタリングし、異常を検知した場合にはその原因を調査し、適切な対処につなげるための情報を収集する。
この情報収集には一般的にSNMPが用いられる。また、ネットワーク上の異常な振る舞いをAIで検知するAIOpsの手法も増えているが、ワートキン氏によれば、Indeniは「プロアクティブな活動ができる」のが特徴だ。SNMPで得られる情報も、AIOpsで検知できる異常な振る舞いも、「どちらもすでに起こったことを検知しているに過ぎない」。
対して、Indeniのソリューションは、ネットワーク上に存在する各デバイスの健康状態と、その依存関係を把握することで、より詳細にネットワークの状況が理解できるという。これを導入したある金融機関では、検出したアラートのうち7割がSNMPでは検出が不可能だったアラートであり、残る3割についてもSNMPに比べてより詳細な情報が提供できたという(下図表)。
Indeniのソリューションの導入事例
さらに、Indeniのソリューションを特徴づけているのが「自動トリアージ」機能だ。障害・異常発生時に、その緊急度・重要度に応じて優先度を決める機能で「ユーザーに対して、次に何をすべきかを教えてくれる。障害のログや関連情報も自動的にまとめてくれるので、ユーザーはそれを使ってベンダーとやり取りすることが可能だ」(ワートキン氏)。下記の通り、多様なベンダーのネットワーク/セキュリティ製品に対応している。
Indeniのネットワークアシュアランスの対応製品
BlueCatはこのIndeniの技術・機能を自社ソリューションに統合し、「BlueCat Infrastructure Assurance」として提供する予定だ。
もう1社のMen&Miceが提供しているのは、「DDIオーケストレーション」だ。
BlueCatがこれまで提供してきたDDIソリューションは、ユーザー企業が既存のDNSやDHCP、IPAMからIntegrityに置き換えることで、それらの一元管理と自動化を実現するものだったが、Men&Miceが提供する「Micetro」はアプローチが異なる。既存のDNS、DHCP、IPAMはそのまま使いながら“オーケストレーション”する。つまり「WindowsのDNSやAWSのDNSなど既存のDNSに依存しないといけないケースでも、一元管理できる」ようになる。
Men&miceが提供するDDIオーケストレーション「Micetro」
異なるベンダーのDNS/DHCP/IPAMを併用している企業は珍しくなく、その場合、運用管理者はベンダーごと製品ごとの専門知識を学んだうえで作業を行う必要があった。これが管理負荷の増大を招いていたが、Micetroを用いれば、単一画面上で同じ操作で管理することが可能になる。
ワートキン氏によれば2社とも、10年以上にわたってグローバルにソリューションを提供してきているが、これまで日本では導入実績がないという。BlueCatの日本法人を経由して提供を始めることで、ネットワーク/セキュリティの可視化と運用自動化を後押ししていきたい考えだ。