シスコシステムズが3年前の2020年に買収したThousandEyesは、「インターネットを可視化する」ソリューションだ。インターネットの状況をワールドワイドで監視、分析し、パフォーマンス劣化や通信断等の障害発生を検知する。
企業ネットワークの管理者は通常、LAN/WANのパフォーマンスは可視化・管理できても、その外側のインターネット/クラウドの状況は把握できない。これまで“ブラックボックス”だったこのインターネットの状況変化を見通し、障害の原因箇所やその影響範囲を迅速に特定できるようにするのがThousandEyesの目的だ。
インターネットのパフォーマンス、障害地点等を可視化するThousandEyes
「我々はインターネットのGoogle Mapを作ろうとした」
TousandEyesの創業者で、現在はシスコのシニアバイスプレジデント 兼 ネットワーク アシュアランス ゼネラル マネージャーを務めるモヒート・ラド氏はそう話す。
クラウド移行がもたらした“厄介な問題”
インターネットの可視性を高めることは、今やIT/ネットワーク管理者にとって不可欠な要素となりつつある。
業務アプリケーションがクラウドへ移行し、また、リモートワーカーが会社以外の場所からインターネット経由で様々なクラウド/データセンター(DC)にアクセスすることが常態化したからだ。例えば、「Web会議の音声が途切れる」「SaaSのレスポンスが悪くなった」と従業員からクレームが入っても、その原因箇所を特定するのは甚だ難しい。
アプリケーション利用時はデバイスからクラウド/DCまで複雑な経路を通る
それは、現在の企業ネットワークが上の図のように複雑になっているからだ。デバイスからクラウド/DCまでのどこに原因があるのか、LAN/WANをいくら厳格に管理していても問題の切り分けすらままならない。さらに厄介なことに、「アプリは単体で動いているわけではない。クラウド上のアプリと、DCにある顧客データベースが連携したりするので、インターネットとWANを行き来する非常に複雑なアクセスになる」と、シスコ 執行役員 エンタープライズネットワーク事業担当の眞﨑浩一氏は問題点を指摘する。
米シスコ シニアバイスプレジデント 兼 ネットワーク アシュアランス ゼネラル マネージャーのモヒート・ラド氏(左)と、
シスコ日本法人 執行役員 エンタープライズネットワーク事業担当の眞﨑浩一氏
シスコはこれを解決するアプローチとして、同社のネットワーク製品や管理システム、Webex等のコラボレーションサービスとThousandEyesの統合を進めている。この取り組みについて2023年6月29日に記者向けの説明会を開催。進捗と今後の方針等について語った。