インテルが描くデータセンターの将来像とは
講演では、データセンターに関する取り組みも紹介された。
データセンターは多くの電力を消費するため、施設全体で電力を削減することが求められている。そこでインテルは、IT機器を特殊な油の中に浸すことで冷却する液浸冷却のリファレンス・デザインを開発、パートナーとともに実証実験に取り組んできた。日本での例を挙げれば、データセンターの消費電力を抑え、二酸化炭素の排出量を削減することが実証されたことから、ホワイトペーパーを公開している。
液浸冷却に関する実証をさまざまなパートナーと行っている
インテルは、各地に15のデータセンター拠点も展開する。39万台強のサーバーを運用しているが、そこでもサステナビリティに向けた取り組みを行っている。
「当社はCPUを作っている会社なので、CPUを交換するサイクルが非常に短い。そのたびにサーバーも新しくするともったいないので、CPUやNICなどそれぞれのモジュールが独立して更新を行えるモジュール分離型サーバーを採用し、効率的な運用を実現している」という。
モジュール分離型サーバーにより、効率的な運用を実現している
インテルは2021年に、データセンターの将来構想「Datacenter of the Future」を発表した。
堀田氏によると、光回線でネットワークとサーバーをつなぎ、IPU(Infrastructure Processing Unit)がすべてのネットワークを管理し、そこから先にホストCPUやアクセラレーターがある、というコンセプトだ。「将来的には、アクセラレーターを大量に搭載したサーバーが光回線とつながり、ホストCPUは使われなくなるのではないか」と見通しを明らかにした。
インテルが考える将来的なデータセンターについて
サーバーにすべてのコンポーネントを詰め込む時代はそろそろ終わり――。こうした発想は、インテルのCPUにも反映されており、第 4 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは、1つのCPUパッケージ内に複数のアクセラレーターを完備し、様々なワークロードに対応することができる。さらに2025~2030年に向けて、1つのパッケージにCPUとGPUを一緒に搭載するマルチ・タイルアーキテクチャも検討している。
併せて、インテルはクラウドベンダーや半導体ベンダーとともに、1つのパッケージ内に複数のシリコンチップを接続するための共通規格「UCIe」の策定も進めているという。
堀田氏は「数年後にはCPUという言葉が使われなくなるかもしれないが」と前置きしたうえで、「プロセッサーユニットに、CPUやGPUの機能がデファクトで搭載されたものが登場する。そうなったとき、データセンターのノードは、オールインワンのComputeノードとメモリーなど多様なアクセラレーターノードに分かれていくだろう」と語り、講演を締めくくった。