「ImpervaはWAFの会社ではない」――No.1 WAFベンダーの新戦略とは?

国内WAF市場でトップシェアを持つImperva(インパーバ)が記者会見を開催。「ImpervaはWAFの会社ではない」と、今後はデータベースセキュリティとファイルセキュリティを合わせたフルソリューション、そしてクラウドやマネージドサービスによる中堅中小市場の開拓に注力する戦略を明らかにした。

セキュリティベンダーのImperva Japanは2011年7月6日、米本社のシュロモ・クレイマーCEOの来日に合わせ、記者説明会を開催した。

2002年に米国で設立されたImperva(インパーバ)は、日本ではWAF(Web Application Firewall)ベンダーとして知られている。日本法人のジェネラルマネージャを務める長坂美宏氏によれば、国内WAF市場でのシェアは26.3%で1位。これはミック経済研究所のデータだが、富士キメラ総研とITRの調査でもトップシェアだそうだ。「WAFといえばImperva、ImpervaといえばWAF」といえるポジションを築いているとアピールした。

Imperva Japan ジェネラルマネージャの長坂美宏氏
Imperva Japan ジェネラルマネージャの長坂美宏氏

だがその一方で長坂氏は、「ImpervaはWAFの会社ではない」とも強調した。データベースセキュリティ、ファイルセキュリティ、WAFがImpervaの3本柱であるといい、今後は国内でもWAF以外のソリューションの売上拡大に注力していく考えを披露した。

フルソリューションを提供できるのはImpervaだけ

続いて登壇したクレイマーCEOはまず、2010年には270億ドルもの情報セキュリティ投資が行われたにもかかわらず、ソニーなどの大手企業で情報漏洩が相次いでいることに触れ、外部からの攻撃・脅威と内部からの漏洩の両方にしっかり対処していくことの必要性を訴えた。

米Imperva シュロモ・クレイマーCEO
米Imperva シュロモ・クレイマーCEO

そのうえで「我々のミッションは“ビジネスの原動力となるデータ”を保護すること。Impervaは唯一、データベース、ファイル、WAFを統合したフルソリューションを提供している会社だ」とした。データベースセキュリティではIBMやオラクル、ファイルセキュリティではシマンテックやRSA、WAFではF5ネットワークスやシトリックスなどが競合となるが、これら3分野をトータルで提供できるのは同社の「SecureSphere」だけだという。

Impervaのセキュリティソリューション「SecureSphere」の競合環境。フルソリューションを提供するのはImpervaが唯一だとアピールした
Impervaのセキュリティソリューション「SecureSphere」の競合環境。フルソリューションを提供するのはImpervaが唯一だとアピールした

SecureSphereのプロダクトファミリは下の写真の通りだが、これらのプラットフォームは共通となっており、同一の管理画面上から管理可能だ。また、プラットフォームの提供形態としては、ハードウェア性能の異なる物理アプライアンス5モデルのほか、VMware対応の仮想アプライアンスも用意。さらにキャリアグレードのセキュリティプラットフォームで知られるCrossbeam社のハードウェアにも対応する。

SecureSphereのプロダクトファミリ
SecureSphereのプロダクトファミリ

クラウドサービスも国内投入

米国ではさらに、導入・運用までをトータルで支援するマネージドサービス、WAFをクラウドで提供するサービス「Incapsula」(インカプシューラ)も提供されているが、今後国内でもパートナー経由で提供していく予定だという。「WAFの導入ハードルは高く、従来の顧客は大企業に限られていた。しかしマネージドサービスとクラウドサービスを提供することによって、企業規模を問わずリーチできるようになる」(長坂氏)。

ここ数年のワールドワイドでの平均成長率が47%にも達するImpervaだが、日本国内はそれをはるかに上回る80%の急成長を遂げているという。WAF以外のデータベース/ファイルセキュリティへの注力、マネージドサービス、クラウドサービスの3つをもって、日本市場でのさらなる飛躍を図っていきたいという。

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