スマートフォン向けビジネスアプリケーション開発は普及するのか?

フィーチャーフォンのシェアを侵食し始めているスマートフォン。ビジネスアプリケーションの開発という視点で見ると、すでにフィーチャーフォンを凌駕しているというシステムインテグレータ(SIer)は多い。本稿では、SIビジネスの視点からフィーチャーフォンと比較し、スマートフォンがなぜビジネスアプリケーション開発のターゲットとして有望なのかを整理してみた。

端末の性能には大差はないが、スマホはアプリ開発への抵抗感が無い

まず「端末」についてであるが、ビジネスアプリケーションを動作させるための環境として考えた際、スマートフォンとフィーチャーフォンの間には大きな差はないと筆者は考える。

日本の携帯電話は他国のものに比べて機能が豊富であり、スマートフォンと同等のセンサや処理能力を持っている。単純にハードウェア的に比較してスマートフォンが大きく優れているとは言いがたい。

ただ、フィーチャーフォンは「電話」から進化してきた端末である。そこにアプリケーションを動作させる環境が揃ったからといっても、電話に後から付属した機能という印象が拭えない。端末の付属機能上で動作するアプリケーションを作成することへ費用を投じることに対して抵抗を感じる企業は多いと考えられる。

それに対して、スマートフォンは元々アプリケーションを動作させることを念頭において作り出されたものであり、その上で動作させるアプリケーションを作成することに対しての抵抗感は、フィーチャーフォンの際に比べれば低いと考えられる。このことから、スマートフォンはフィーチャーフォンに比べ、業務アプリケーションを動作させる環境として、ユーザに受け入れられやすいと言える。

Android向け開発プラットフォームは手軽にデモが行えるのがメリット

次に、「開発プラットフォーム」についてであるが、開発に利用可能なツール等だけを見れば大きな差はない。しかし、スマートフォンはフィーチャーフォンに比べ、GPS等の端末機能を利用する際の制限が少ないという特徴をもつ。

例えば、フィーチャーフォン(iアプリ)の場合、端末機能を利用したアプリケーションを作成しても、iモードメニューもしくはドコモマーケット(iモード)から端末にダウンロードしなければ端末機能を利用することができない。iモードメニューやドコモマーケットにアプリケーションを登録するためには、契約やアプリケーションの審査に合格する必要がある。

これに対してスマートフォン(Android)の場合は、特に制限なく端末機能を利用したアプリケーションの作成を行い、それを実際の端末上で動作させることができるのである。スマートフォン(Android)であれば、ユーザへの提案時に、端末機能を利用したアプリケーションを作成し、実際の端末上で動作させながらデモを行うということが手軽にできる。

また、提案前の技術検証も実際の端末を利用して行うことができる。このことから、フィーチャーフォンに比べてユーザへの提案が行いやすいと言える。

清水純平(しみず・じゅんぺい)

モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)認定シニアモバイルシステムコンサルタント(SMC)
ウェブテクノロジー株式会社 ソリューション統合開発部 所属。大規模システム開発のアーキテクト作業及び、新技術を基としたサービスの企画業務に従事。

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