シーゴシステムズ・ジャパンは2010年5月11日、I/O仮想化コントローラの新製品「Xsigo VP560」を発売した。
シーゴシステムズ・ジャパン代表取締役の尾方一成氏 |
「I/O仮想化コントローラ」とは、サーバーのI/O(データの入出力)を集約してI/Oリソースを仮想化するための装置のこと。サーバーやストレージを互いに、またネットワークと接続する物理I/O――アダプタカードやケーブル配線など――を集約・簡素化し、機器コストや運用負荷、作業ミスによる障害を軽減できる。
なぜ「I/O仮想化」が必要なのか
「I/O仮想化」は、クラウドコンピューティングを実現するための「ネットワークの仮想化」に不可欠な技術だ。
クラウド環境においては、サーバーやストレージといったITリソースをすばやく構成変更・拡張できなければならない。そのためデータセンターには、多様な機器を自在に接続でき、かつその接続コスト・運用コストを抑制するという新たな課題が生じた。従来のようなケーブリングでは、オンデマンドにリソースを提供するのに非常に複雑な配線が必要で、運用コストも増大する。
“クラウド型”データセンターに求めれられる要件 |
I/O仮想化は、こうした課題の解消に貢献する。
物理サーバーが各々、複数のネットワークと接続するのではなく、I/O仮想化コントローラを介して各種のネットワークと接続することにより、配線を集約できるだけでなく、システムを止めずに動的な構成変更や拡張が可能になる。また、スペースや消費電力の低減などにもつながる。
シーゴシステムズ代表取締役の尾方一成氏によれば、I/O仮想化ソリューションには同社の「Infiniband型」のほか、HPやIBMの「ブレードサーバ型」、シスコシステムズのUCSなどで採用している「FCoE型」、NECが提供している「PCI-express型」がある。
I/O仮想化ソリューションの類型 |
これらはいずれもサーバーの機能として提供されているものだが、シーゴシステムズの製品は独立型である点が特徴。サーバーベンダーが混在する環境でも使えるのが同社の大きな強みという。
●ターゲットは「プライベートクラウド」
今回発売された新製品「Xsigo VP560」は、従来販売していた大規模データセンター向けの「Xsigo VP780」をコンパクトにし(4U→2U)、かつ低価格化(1台当たり300万円)した製品だ。ただし、VP780の機能はすべてサポートしている。容量も「10ポート 1GbEモジュール」「1ポート 10GbEモジュール」「2ポート FCモジュール」といった各種モジュールの切り替え・追加によって変更可能だ。尾方氏は、「VP560ならば、スモールスタートのパイロットシステムから本格的なクラウド環境の構築まで幅広くサポートできる」と語る。
プライベートクラウドをターゲットに開発された新製品「Xsigo VP560」 |
VP560のターゲットは、国内市場でニーズの高い「プライベートクラウド」だ。「日本、そしてアジアのユーザーはスモールスタートから徐々に規模を拡大していくというニーズが多い。さらに日本にはスペースの課題もある。そうした現状が反映された新製品」(尾方氏)だという。
販売目標については、2011年4月末までに国内で3億円の売上を目指す。伊藤忠テクノソリューションズ、住商情報システム、ネットワークバリューコンポネンツ、ネットワンシステムズの4社の代理店を経由して販売するほか、日立製作所などのソリューションパートナー、VMware/Microsoft/Citrix/Dell/Juniperといった米国本社が提携するテクノロジーパートナーとも連携しながら、プライベートクラウド市場を開拓していきたい考えだ。