トップが活性化の旗振り
SPACEの構築に当たって、ベルリッツがこだわったのは「縦と横のコミュニケーションを促進すること」(久保田バイス・プレジデント)だったという。
縦のコミュニケーションとはトップダウン型の情報伝達のこと。それを担うのは企業ポータルである。実は同社では以前、電話以外の情報伝達手段としてはメールが存在していただけだった。メールでは世界中の拠点で働く社員1人ひとりに本部のメッセージを素早くかつ確実に伝達することは難しい。そこで本部のポリシーや指示を世界中の社員に行き渡らせる役割を企業ポータルに担わせることにした。
横のコミュニケーションは、国や組織のヒエラルキーを越えて社員同士がコミュニケーションすることを指し、主に企業ソーシャルソフトウェアが担っている。
縦と横のコミュニケーションを活性化させるために、ベルリッツが行ったことは道具の用意にとどまらない。同社はICTツールの価値を存分に生かすべく、さまざまな工夫を行っている。
まず、縦のコミュニケーションを担う企業ポータルでは、経営層が自ら情報を発信したり、機能別組織ごとに定期的に情報発信を行うコミュニケーションリーダーを設置している。実際、内永CEOは1カ月に2回、メッセージを発信しているし、社員からのコメントに対してこまめに返信している。
また、機能別組織は1カ月に1回、新たな情報を発信することが定められている。1カ月以上、新しい情報が発信されないと、本部が情報発信を催促する仕組みになっている。さらに、社内表彰についてもSPACEで公開している。表彰の記事が掲載されると表彰された社員に「おめでとう」の声が届く。自然と社員の輪が広がる。
業務に関するポリシーや規定、サービスの価格表など、社員が業務を遂行するうえで欠かせない情報を企業ポータルに掲載していることも大きな特徴だ。そのため「SPACEを見ないと社員は業務ができない」(久保田バイス・プレジデント)という。SPACEを中心として世界のベルリッツ社員が仕事をするような仕掛けになっているのだ。
図表2 SPACEの要素と目的 |