「主要通信事業者の85%がOpen RAN(無線アクセスネットワーク)の導入意向を示している。昨年に比べて商用導入を見据えた具体的な取り組みになってきている」――。
5G基地局のオープン化/マルチベンダー化を推進するOpen RAN製品を軸に「グローバル5G事業」を展開するNEC。2022年9月22日に開催した記者説明会で執行役員常務の河村厚男氏は、市場の現状についてそう述べた。
NEC 執行役員常務の河村厚男氏
NECが2021年5月に策定した「2025中期経営計画」において、このグローバル5G事業はフォーカス領域の1つとされており、「Open RANで2025年度1900億円」を目標に掲げている(参考記事:NECがグローバル5G事業戦略を説明「Open RANで2025年度1900億円」)。河村氏は「5G基地局市場のうち、Open RANは2025年までに30%まで拡大すると見込まれている。その市場規模は1兆円を超えることが予想され、そこで15%以上のシェアを獲得したい」と意気込みを語った。
2025年度の目標と成果
2022年度は、2021年度(670億円)の1.6倍となる1100億円を計画していたが、「一部の顧客がOpen RANに慎重な姿勢を示したことで下方修正」し、820億円を見込む。ただし、河村氏は「この予想はリスクを加味した保守的な数値で、新規の大型案件の商用ベンダーにも選定されている」と強気の姿勢。2025年度の目標に変更はなく、「Open RANの導入意向が強い欧州の通信事業者に経営資源を集中する」との方針を示した。
2022年度は欧州での商用構築に注力
Open RAN市場は日本、そして欧州を軸に成長していきそうだ。
河村氏が提示した市場調査のデータによれば、Open RANが商用稼働中および購買段階にある通信事業者は13%、ラボを所有またはトライアル中は合わせて35%に及ぶ。
特に活発な動きを見せているのが欧州だ。ボーダフォンとテレフォニカが2030年までに欧州のネットワークの2~3割をOpen RAN化すると表明。英独政府もOpen RAN化を推進する方針を示している。河村氏は「2022年度は特に欧州での商用稼働に貢献していきたい」と述べた。
Open RANのグローバル市場動向
また、新興事業者の積極性も目立つ。「グリーンフィールド事業者が商用ネットワークへの導入」(同氏)を進めているとし、その例として米Dish Networkを挙げた。
アジアではインドがこの7月に周波数オークションを実施。同国でもOpen RAN採用の動きが活発化しているという。