3.4.5 目先の数値目標だけにとらわれない
新たな取り組みには、往々にして投資対効果や評価指標が追求され、取り組みの意義を証明することを迫られます。確かに、システム投資に当たり、数値目標の設定は重要ですが、しばしば効果測定の指標を達成すること自体が目的化し、本来やりたかったこととはかけ離れた振る舞いをしてしまうことがあります。
Nextiでは、登録者数や事業への波及効果などの数値目標は設定しておらず、経営層からも課されていません。むしろ、そのことがユーザー視点のサイト運営を実現し、その結果、予想を超えた登録者数や利用率につながっているのではないでしょうか。
無論、闇雲に運営しているわけではありません。リスペクターズは、Nextiの“間接的効果”は大きいと直感的に見ており、その効果を定性的に測るため、「セクショナリズム打破による企業風土の変革」という最終目的を細分化したゴールツリーを作成して、統計データ取得やKPI設定を実施しています(図3-13参照)。また、Nextiが業務改善、社員の働き方改善に役立った事例、顧客への紹介事例などを蓄積して共有しています。ただし、こうした効果測定や事例収集は、「組織に提示するため」に行っているのではありません。Nextiの目的達成のために役立てているのです。
図3-13 Nextiにおけるゴールツリー |
次章では、2009年7月にNTTデータグループ数社にも拡大したNextiが実際にどのような使われ方をしているか、社員や会社にどんな気づきや変化があったのかを紹介します。
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