「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る《3-4》Nextiの運営体制――NTTデータ流ソーシャルテクノロジー

「Twitter」や「SNS」に代表されるソーシャルテクノロジーが、企業でも使われ始めた。厳しい経営環境を乗り切るために、組織へ組み込み、コミュニケーションの活性化に役立てようとする企業も現れている。本連載では、2009年のダボス会議で「持続可能な100社」に選ばれたNTTデータの取り組みを中心に、ソーシャルテクノロジーのメリットから活用のポイントを分かりやすく紹介する。

3.4.5 目先の数値目標だけにとらわれない

新たな取り組みには、往々にして投資対効果や評価指標が追求され、取り組みの意義を証明することを迫られます。確かに、システム投資に当たり、数値目標の設定は重要ですが、しばしば効果測定の指標を達成すること自体が目的化し、本来やりたかったこととはかけ離れた振る舞いをしてしまうことがあります。

Nextiでは、登録者数や事業への波及効果などの数値目標は設定しておらず、経営層からも課されていません。むしろ、そのことがユーザー視点のサイト運営を実現し、その結果、予想を超えた登録者数や利用率につながっているのではないでしょうか。

無論、闇雲に運営しているわけではありません。リスペクターズは、Nextiの“間接的効果”は大きいと直感的に見ており、その効果を定性的に測るため、「セクショナリズム打破による企業風土の変革」という最終目的を細分化したゴールツリーを作成して、統計データ取得やKPI設定を実施しています(図3-13参照)。また、Nextiが業務改善、社員の働き方改善に役立った事例、顧客への紹介事例などを蓄積して共有しています。ただし、こうした効果測定や事例収集は、「組織に提示するため」に行っているのではありません。Nextiの目的達成のために役立てているのです。

図3-13 Nextiにおけるゴールツリー
図3-13 Nextiにおけるゴールツリー

次章では、2009年7月にNTTデータグループ数社にも拡大したNextiが実際にどのような使われ方をしているか、社員や会社にどんな気づきや変化があったのかを紹介します。

(連載目次はこちら

NTTデータ流ソーシャルテクノロジーNTTデータ流 ソーシャルテクノロジー
~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~

■Nexti運営メンバー有志(著)
■新書版 132ページ
■定価:1,050円(税込)(本体:1,000円)
■ISBN:978-4-89797-843-7

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本連載は、2010年1月にリックテレコムから発行されたソリューションIT新書『NTTデータ流ソーシャルテクノロジー ~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~』(著者・Nexti運営メンバー有志)を転載したものです。

鈴木宏史
株式会社NTTデータ 第一公共システム事業本部
1999年、NTTデータ入社。入社以来、自治体系システムを担当分野として、営業及びシステム開発に従事する。Nextiには2006年2月より参画し、全体企画及びユーザー対応等を担当する。また、幹事長として合宿や忘年会等のイベントを仕切っている。

豊島やよい
株式会社NTTデータ 営業企画部
1998年、NTTデータ通信入社。SEとして官公庁向け電子申請システムの開発等を手がけた後、航空・空港業界の営業・マーケティング、新規ビジネスの立ち上げを経て、現部署に異動。全社営業力強化を目標に、前線の営業担当者向けの営業改革施策立案・運用に携わる。本書内の「新・行動改革WG」に参加。Nexti立ち上げメンバーとして、的場聡弘氏とともに「こころざし」を起草。また「3行の利用規定」の起案やユーザー対応など、技術力を共感力で補う立ち位置で活動している。

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