「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る《3-4》Nextiの運営体制――NTTデータ流ソーシャルテクノロジー

「Twitter」や「SNS」に代表されるソーシャルテクノロジーが、企業でも使われ始めた。厳しい経営環境を乗り切るために、組織へ組み込み、コミュニケーションの活性化に役立てようとする企業も現れている。本連載では、2009年のダボス会議で「持続可能な100社」に選ばれたNTTデータの取り組みを中心に、ソーシャルテクノロジーのメリットから活用のポイントを分かりやすく紹介する。

3.4.3 やりたくてやっている活動だから建前がない

リスペクターズのメンバーは、従来型の固定的な組織形態とは異なり、自らの意志で集っています。部署や職種、年齢、勤務地もバラバラですが、「何としても社内SNSを実現したい」「この会社を良くしたい」という強い思いのもと、「本業は忙しいけれど楽しいから」「自分がやりたいから」といったモチベーションで活動に参加しています。

メンバーは日常的に顔を突き合わせて活動するのは困難ですが、電子メールやNexti上のコミュニティ、社内ファイルサーバーなどを駆使し、オンライン上で議論を交わしています。 メンバーが一堂に会すのは2ヶ月に1回程度開催される定例会議ぐらいですが、オンラインコミュニケーションで十分に補っています。

そのため、メンバーの結束力はとても堅固です。集権的リーダーシップがなくとも、メンバー各自が強味を活かしながら活動しています。その秘訣は、Nexti運営の目的と方向性をしっかり共有し、ヒエラルキーがなく協力しやすい、全てのメンバーが同じレベルの情報を共有するよう努めていることなどにあります。

通常の業務では、個人の考えと組織の見解がしばしば相反してジレンマに陥るものです。それがリスペクターズの場合、本音で議論します。なぜなら、「この活動は自分達が主体的に推進していくものであって、誰かから強制されてやるものではない」という暗黙の共通認識をメンバーが一貫して持ち続けているからです。他人事ではなく、“自分事”なので建前の議論は不要です。

3.4.4 セクションを超えて集まるメンバー

当初8名からスタートしたリスペクターズでしたが、3年間でメンバーの増加や入れ替えを経て現在は、部署や職種、年次、得意分野も異なる個性豊かな数十名が集まっています。いわば、自ら“セクショナリズム打破”を体現しているわけです。Nextiの活動を通じて得られる気づきや出会いが本業にも良い刺激を与え、Nextiにかけるモチベーションを生んでいると言えます。

もちろん、メンバー全員が常に100%活動できるわけではありませんが、各々が可能な範囲で強味とアイデアを出し合い、その時々に動けるメンバーがうまく立ち回り、補完しあっています。メンバーの共通認識として「楽しみを感じなくなり、活動が苦痛になったら、そのときは無理して続けなくても良い」があります。「来る者拒まず、去る者追わず、戻ってくる者は温かくお出迎え」の精神で、可能な範囲で前向きに活動しています。そしてメンバーは、何より自身が楽しみながら活動していれば、Nexti全体の雰囲気も良くなることを実感しています。

本連載は、2010年1月にリックテレコムから発行されたソリューションIT新書『NTTデータ流ソーシャルテクノロジー ~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~』(著者・Nexti運営メンバー有志)を転載したものです。

鈴木宏史
株式会社NTTデータ 第一公共システム事業本部
1999年、NTTデータ入社。入社以来、自治体系システムを担当分野として、営業及びシステム開発に従事する。Nextiには2006年2月より参画し、全体企画及びユーザー対応等を担当する。また、幹事長として合宿や忘年会等のイベントを仕切っている。

豊島やよい
株式会社NTTデータ 営業企画部
1998年、NTTデータ通信入社。SEとして官公庁向け電子申請システムの開発等を手がけた後、航空・空港業界の営業・マーケティング、新規ビジネスの立ち上げを経て、現部署に異動。全社営業力強化を目標に、前線の営業担当者向けの営業改革施策立案・運用に携わる。本書内の「新・行動改革WG」に参加。Nexti立ち上げメンバーとして、的場聡弘氏とともに「こころざし」を起草。また「3行の利用規定」の起案やユーザー対応など、技術力を共感力で補う立ち位置で活動している。

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