コムスコープ・ジャパン 屋外ワイヤレスネットワーク部門 営業本部長の黒田隆広氏は言う。
「5Gの整備は現状、本当にまだ入口あたりのところ。日本に何十万局とある4Gの基地局を、これから5Gへアップグレードしていくことになる」
政府は「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の中で、2025年度末に5G人口カバー率を全国97%/各都道府県90%程度以上、2030年度末に全国・各都道府県99%という目標を設定した。全国くまなく5G化するという、世界的に見ても非常に意欲的といえるターゲットだ。デジタル化により遠隔作業や遠隔医療、自動運転などを推し進め、地域課題を解決していくのに、5Gが必須のインフラの1つであることが背景にある。
ただ一方で、こうした5Gで期待されているソリューションは、まだ十分にマネタイズできているわけではない。「そうしたなか、将来を見越して必要なネットワークを最大限効率的に構築していく必要があるというのが、通信事業者の今一番の課題の1つではないか」と黒田氏は話す。
コムスコープ・ジャパン 屋外ワイヤレスネットワーク部門 営業本部長 黒田隆広氏
買収重ねながら成長
コムスコープは米国に本社を置くネットワーク機器ベンダーだ。2021年の売上高は85億ドルで、従業員数は約2万人。全世界150カ国以上に製品を出荷している。「ノースカロライナ州ヒッコリーという片田舎で創業した小さな会社が、買収を重ねながら、どんどん大きくなっていった」
これまで買収してきた企業の一例を挙げると、基地局向けアンテナなどのアンドリュー、ケーブル・コネクタメーカーであるタイコエレクトロニクスのネットワーク部門、CATV事業者向けソリューション最大手だったアリス、無線LANベンダーのラッカスなど。一貫して軸足を通信に置きながら、買収をテコに事業領域を拡大し続けてきた。
黒田氏が属する屋外ワイヤレスネットワーク部門は、主に基地局関連の製品を提供しており、アンテナからケーブル、キャビネットなどまで、「無線機以外はすべて一括提供できる」。
通信事業者が直面する最大の課題の1つである5G整備の効率化に向けては、インフラシェアリングや既存の基地局サイトの有効活用が重要なカギを握るが、そのためのソリューションも豊富に用意しているという。