その4:遊び心とアソビを忘れずに
もうひとつの留意点は、社内システムと言えども遊び心を盛り込んだことです。例えば、Nexti内でメッセージを受信したり、相互リンクの依頼を受けたりした時に配信されるプッシュメールの本文は季節に合わせて変更されます。トップページのヒヨコの絵柄や台詞も適宜模様替えしています(図3-12参照)。
図3-12 トップページのヒヨコ画像 | |
これらは機能とは関係なく、変更しなくても何ら支障はありません。しかし、気づいた人には「ちょっとおもしろい」「次は何かな」など、Nextiにアクセスする動機や楽しみとなっているようです。自動車のハンドルの「アソビ」のように、ちょっとした気持ちの余裕がリフレッシュや新たなアイデアを生むと考え、遊び心もNextiの特徴のひとつと位置づけています。
3.3.3 緩やかな雰囲気からチャレンジが生まれる
Nextiの運営メンバーは、情報発信しやすい雰囲気を作り、問題が発生した場合のみ、Nextiの方向性から逸れないよう交通整理する役に徹しています。最低限の使い方やルールは定めますが、それ以上の細かな指示や規制を発することはありません。つまり、Nexti自体がひとつのコミュニティとして運営されているのです。
実際、「Nexti」という名前自体もユーザーから案を募り、寄せられた62案から全員の投票で決定しました。また、ユーザーに自己解決を図ってもらうため、頻発する問い合わせとその回答はFAQとして掲載しています。カスタマイズ要望や不具合探しにも専用コミュニティを設け、誰でも思い立ったときに投稿できます。運営メンバーとのやりとりも公開されています。
現在、Nextiで最もよく使われる機能のひとつが「Q&A」です。質問を投稿すると、全ユーザーの個人ページの目立つ位置に表示される仕掛けです。相互リンクしていないユーザーにも質問を見てもらえ、それを見たユーザーが気軽に回答やコメントを寄せることができます。
このQ&Aは、予想していなかった使われ方もしています。ある時、Q&Aに「私の取り組んでいる業務でキャンペーンを実施しているのでお知らせします。ご意見ください」という投稿がありました。Q&A本来の意図とは異なる使われ方ですが、批判的コメントを寄せる者はいませんでしたし、運営メンバーも規制することはありませんでした。この後、Q&Aに混じって、自部署のサービスのPRやちょっとしたイベント告知の投稿が増えてきたのです。よく考えると、従来は社内の公式ポータルサイト以外で自分の仕事に関して宣伝したり、意見を募ったりする場がなかったのです。
緩やかな雰囲気だからこそ、ちょっとしたチャレンジが許されるNextiと、そこから垣間見えてくる社員のニーズやアイデア。既存の機能やルールに縛られず、Nextiは日々進化しています。
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